加藤路瑛さん「今をあきらめたくない」|僕らの時代 Vol.13
自分らしい価値観をたいせつに、志をもって活躍している人とコラボレーションしていく「僕らの時代」。第13回目のゲストは株式会社クリスタルロード代表取締役社長の加藤路瑛さんです。
松下幸之助が未来を担う若者へのこしたメッセージに、今を生きる私たちはなんとこたえることができるでしょう。
12歳のときに会社を設立した加藤さん。幸之助の言葉から「仕事」について改めて感じた想いをつづってくれました。
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「今をあきらめたくない」
子どもを理由に「今」をあきらめたくない。
そんな理想を掲げて私は12歳の時に会社を立ち上げ、子どもが起業しやすい社会を目指した。
このように書くと、なんと崇高な志だろうと思われるかもしれない。
しかし、はじまりはもっと衝動的だった。
小さい頃から働くことに憧れを持つ子どもだった。それは、起業したいとかお金持ちになりたいなどの大きな話ではなく、レジ打ちしてみたいとか、スーツを着て会社に行ってみたいなという子どもの世界から見た大人社会への憧れのような感情だった。
しかし、親や大人に話しても「働くのは大人になってから。そのためにも今は勉強しようね」と同じような返答がくる。その言葉に疑問を持つこともなかった。
しかし12歳の時、小学生で起業した人の存在を知ってしまう。
「すごい!小学生で起業できるんだ!かっこいいな。僕も社長になってみたいな」
これが、私の起業ストーリーのはじまりだった。実際は12歳では印鑑証明が取れないため法人登記をすることができない。親が代表取締役、子どもが代表権のない取締役社長として登記すれば、12歳の私でも社長になれる。
「こんな裏技があったのか!親子起業、おもしろいな。みんなにも教えたいな。僕が成功例になれば、子どもが起業しやすい社会になるかもしれない」
こうして、私は12歳の時に、親子起業や子ども起業を広めるために株式会社クリスタルロードを創業する。
しかし、周囲の大人は言う。
「起業したい小中高生なんていないでしょ?仕事になるの?」
「起業して成功していない君が何を教えれるの?」
「中学生が起業するなんてファンタジーだよ」
「金も稼いだことがないのに起業?」
「義務教育終わらせてからにしなよ」
さらに、ネットでもたくさん叩かれる。
「中学生が社長の会社と付き合いたい会社なんてないだろ?」
「どうせすぐ潰れる」
「親の操り人形でしょ?」
「こいつ、借金背負って人生終わり」
その時、思った。
子どもというだけであきらめなくない
2022年12月13日、会社の創業記念日だった。4年がたった。
今、私は自分の困りごとである感覚過敏の課題解決を目指して感覚過敏研究所を立ち上げ、力を注いでいる。事業で結果を残すこと、その過程をお見せすることが親子起業や子ども起業の良さや可能性を伝える最大で最善の方法だと思っている。
感覚過敏という、いわゆるマイノリティの課題解決をするソーシャルビジネスをする立場になって社会を見渡して感じるようになったことがある。
多くの人が現状に不満を抱えている。
しかし、不満を口にするだけで、解決するために行動することは少ない。
私もそうだ。
感覚過敏の課題解決は自分の役目だと感じている。だから努力もする。辛いことからも目をそむけず、挑むことができる。
しかし、それ以外のことは愚痴を言うだけで、世の中を良くしようと行動は起こしていない。
誰かがやってくれるのを待っているのだ。
愚痴りはするが、自分の役目だとは思っていない。
世の中のあらゆる問題を「自分の仕事ではない」と多くの人はそう思っているのではないだろうか?政府や政治家や誰か偉い人がなんとかしてくれると思っている。そして、けっして理想の世界にはならないこの現実を嘆き、国や社会に不満を吐き出す。
松下幸之助さんの「新たな時代」の章にはこのように書かれている。
いつかきっと誰かがなんとかしてくれる。
私たちはいつまで、世界を変えてくれる誰かを待っているのだろうか?そんな人はいない。みんなで自分事として取り組まなければ、社会はわかりやすく良い方向には進まない。
こんなことを思いながら、そしてここに綴りながらも、きっと私も明日には自分のことや自分が関心があることだけで頭がいっぱいになって、他のことは他人任せになってしまうのだ。
松下幸之助さんの「新たな時代」は21世紀がはじまる23年前に書かれている。
今、私たちは2023年を生きる。21世紀から23年を迎えようとしている。
いつまで私たちは、新たな時代を待つのだろう。
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noteマガジン『僕らの時代』は、様々なフィールドでソウゾウリョクを発揮し、挑戦を続けている方々とコラボレーションしていく連載企画です。
一人ひとりが持つユニークな価値観と生き方を、過去からのメッセージに反響させて“いま”に打ちつけたとき、世界はどのように響くのでしょうか――。
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