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AIで夢を形に!大学生と子どもたちが共に思い描く、未来の姿とは

2023年8月20日(日)、神戸・ポートアイランドにあるバンドー神戸青少年科学館にて「ソウゾウの実験室」イベントを開催。夏休み真っ只中の小学生18名が参加しました。
テーマは「未来の夢をかなえる道具をソウゾウしよう」。
「あんなことに挑戦してみたいな、こんな世界になったらいいな」を自由に想像し、楽しみながら創造するワークショップです。

冒頭では、2年後に開催が迫る大阪・関西万博にちなんだクイズやパナソニックの取組みを紹介。さらに大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に関連し、地球温暖化について楽しく学ぶ時間も設けられました。

その後、子どもたちが「未来の夢をかなえる道具って何だろう?」を考え、形にしていくワークショップがスタート。大阪大学の学生がファシリテーターとして加わり、子どもたちに寄り添いながらアイデアを膨らませ、作品として完成させるサポートを行いました。さらに、作品をつくる工程で出た端材(モノづくりに使った材料の余った部分)を活用し、作品をアップデートするアイデアも考案。1つとして同じような作品・アイデアがなく、お互いの発表を聞いて、驚いたり、感心したりとおおいに盛り上がりました。

最後に、実際につくった作品とアップデートするためのアイデアをAIで掛け合わせ、イラスト化。子どもたちのモノづくりへの集中力+熱量に、その場にいた学生・大人がたくさんの元気をもらえる、素敵なイベントになりました。

AI生成で形にできた子どもたちの作品

今回の記事では、学生ファシリテーターとして参加した西野さんと三浦さん、パナソニック社員で“素材のプロフェッショナル”としてイベントに参加した中西さんにお話を伺いました。

(写真左)パナソニック オペレーショナルエクセレンス社 経営戦略部DEI企画室 中西 多公歳さん (写真中央)大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 修士1年 三浦 康平さん
(写真右)大阪大学 工学部地球総合工学科 学部1年 西野 海里さん


子どもたちは、モノづくりのプロセス自体がクリエイティブ!

――子どもたちとのイベントは、いかがでしたか。感想をお聞かせください。

西野: 大学生や社会人は知識があるだけに「これは無理だ」と無意識に思考が止まってしまうような内容でも、子どもは先入観なしにどんどんアイデアを広げていくんです。1のヒントから、10のアイデアが生まれるようなパワーがありました。印象的だったのは、「手で持ったり庭に置いたりして使える、小さな風力発電機」。“風力発電=大規模なもの”という思い込みがないからこそ生まれる発想ですよね。

三浦: 僕は子どもたちの「手を動かし始めるまでの早さ」に圧倒されました。まず絵を描き、それを立体物にしていく。そして作りながら機能を足したり、デザインや色を変えたりする――柔軟な進め方がとてもいいなと感じました。大人って、手を動かす前にあれこれ考えすぎますよね(笑)。まず手を動かして「ゼロからイチ」を生み出す姿勢って大切だなと改めて感じました。

中西: ワークショップではほとんどの子が“道具”をつくる中、地球温暖化の問題を解決するために「切ってもすぐに生える木」を考えた子どもがいました。道具を新たに作ってしまうと、ゴミ排出やエネルギー消費の問題が新たに発生します。それを自然の循環そのものに注目し、循環を強くする・速度を変える方法で解決する。実は業務でも、道具ではなく循環を考える重要性に注目していたところだったので、ハッとさせられましたね。

三浦: とくに僕の印象に残っているのは、「地球の温度を下げる機械」。途方も無いアイデアだと思ったのですが、詳しく話を聞いてみると「熱々のご飯をちょうどいい温度に冷ます」という、生活での体験がベースになった道具でした。知識ベースではなく、実体験で「いいな」と思った内容をスケールアップする発想方法も見習いたいと思いました。

中西: 確かに!進め方そのものがクリエイティブでした。自分が考えた道具を進化させる際に、「小さくする」「動くようにする」「やわらかくする」などが書かれた“魔法のカード”を選ぶのですが、その選び方も面白かった。ある子は「不要なカードを省く、残ったカードを分類した上で数枚を厳選する」という非効率に思える方法で選んでいたんです。理由を聞くと「今はこの方法が良いと思ったから」。大人が“効率的”だと思い込んでいた物事の進め方は、場面によっては“非効率”なケースもあったのかも、と目から鱗が落ちる思いでした。


テクノロジーが当たり前に身近にある、今を生きる子どもたち

――子どもたちが健やかに成長していくために、どんな風にかかわっていきたいですか。

西野: 今の小学生は、AIなどのテクノロジーが身近にあると感じました。道具を進化させるための魔法のカードに記された「小さくする」「大きくする」なども、AIを活用したシミュレーションなどでイメージがつきやすいのか、スムーズに受け入れていました。

個人的には、教育格差の問題に興味を持っています。質の高い教育をどこにいても持続的に受けられる――そんな世の中に貢献したくて、今秋から公立高校でスクールボランティアへの参加を決めました。教育の現場をしっかり見て、感じ、教育格差をなくすために何ができるかしっかり考えたいと思っています。

三浦: 確かにワークショップで「カメラを実装する」とか「不明点はgoogleで調べる」といった発言を聞いて、子どもたちの生活にテクノロジーが当たり前にあると感じました。自分が小学校の頃にはそんな発想なかったなぁと。そんな中、AIの台頭により「人間ができること・すべきことって何だろう?」を考えるタイミングが来ています。僕は今後、人間の活動の中心は、“楽しい”“ワクワクする”といった「感情に関わる分野」がメインになっていくのではないかと考えています。

例えばお茶の作法では、動作が決まっているから自動化できるはずです。でもあえて人間が行うことで、動作を通して相手・自分の心を満たす何かがある。だからこそ僕は「楽しむ姿」を子どもたちにたくさん見せて、伝えていきたいと思っています。手と体を動かして、コミュニケーションを楽しみ、心豊かな社会をつくっていきたいですね。

中西: 私は子どもたちとワークを進めながら、α世代への環境教育の深まりを強く感じましたね。ゴミを分別しましょうといった生活に関わる面だけでなく、地球規模の視点でCO2の発生源や温暖化への対処法などをしっかり学んでいて、自分の意見を出しながら話し合う力を身につけていると感じました。未来をよく考えているなと感動するとともに、身が引き締まる思いでした。


私たちは皆、未来を創る“仲間”。世代を越えて協創を!

――2年後に迫った大阪・関西万博に、みなさんが期待されることを教えてください。

三浦: 「文化と技術の融合」が見られる場、になってほしいですね。“科学”はロジックの積み重ねですが、それだけで説明できない部分が“文化”にはある。万博では、新しい科学によって新しい文化が生まれる瞬間を、子どもたちを始め世界中の人に伝えたいです。「すごい!」「楽しい!」を皆で共有できる場になったらいいなと思っています。

西野: 僕は大阪大学・吹田キャンパスに通っていて1970年の大阪万博時に建てられた太陽の塔が生活圏内にあるのですが、大阪に来て初めて見たときの感動が忘れられなくて。今回の大阪・関西万博も、今を生きる人だけでなく、後世の人たちの心に深く刻まれるものになってほしいと思っています。前回の大阪万博で展示されていたリニアモーターカーに人々がワクワクしたように、子どもたちが将来への希望を膨らませられる場になるといいですね。

中西: パナソニックグループも2025年に向けて準備を進めています。訪れた人が衝撃を受け、心に残り、思い出になるようなものをとメンバーが知恵を絞っているところです。その点では、今日のイベントのようなオープンな場で、世代を超えた多様な考え方やアイデアに触れることは大きな意義があると感じています。

――最後に、同世代または次世代の方へのメッセージをお願いします。

西野: 大学生は学生と社会人のちょうど中間地点にある存在です。だからこそ、大学生は社会にもっと活用してもらい、企業との協創などで力を発揮していくべきではと思います。知識や経験は少ないかもしれませんが、それぞれ自分にしかない経験があるはず。それらを社会に還元してほしいですね。

三浦: やりたいことがあったら、とにかくまず手を動かそう!今日、子どもたちの様子を見て改めて強く思いました。そして仕事や学校以外でも良いので、楽しさを感じられる環境をそれぞれ見つけてほしいですね。子どもたちにも、心と体が思わず動いてしまうようなワクワクする活動をたくさん見つけてほしいと思います。

中西: 今日は子どもたちだけでなく、ファシリテーターの学生さんからも、たくさん学ばせてもらいました。社会人も学生も「年長者が後輩に教える」関係性にとらわれがちですが、未来を創造していくためには、モノづくりの仲間として同じ立場で切磋琢磨していく必要があると思います。教え合い、学び合いでより良い未来をソウゾウできるはず。世代を超えたコミュニケーションに大きな可能性を感じました。

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