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「ソザイの技術者×アイデアの技術者」で挑む!マテリアルの魅力共創WSと3つの秘伝発想術

みなさん、こんにちは!
マテリアル・イノベーション・マガジン編集部です。
今回は、パナソニックの技術者と、クリエイターズグループMAC(以下、MAC)によるワークショップをピックアップ。パナソニックグループ企業のMACは「アイデア売ります」というスローガンで1956年にスタートした、日本初の広告企画制作会社と言われています。

ワークショップ(以下、WS)のお題は、現在、研究開発中のマテリアル(以下、化学素材)の活用方法や商品のアイデアをソウゾウすること。
これまでもWSは数多く開催されてきましたが、 今回は「新しいカルチャー」の創出にも繋がるような、ひと味違ったアイデアが生まれたようです。

今回の記事では、技術者×広告クリエイターの化学反応で生まれたユニークなアイデアと、WSで広告クリエイターが活用した、とっておきの発想術をご紹介します!

異業種WSで共創した「新しいカルチャー」に繋がるアイデア

今回、技術者代表として参加したのは、マニュファクチャリングイノベーション本部(以下、MI本部) の岡部さんと高橋さん。MI本部は、化学素材の技術・用途開発を行っている部署です。

岡部さんの担当は、土に還るプラスチック 「セルロースファイバー複合生分解性樹脂」の研究開発をすること。植物由来のセルロースファイバー(以下、CeF)を配合しており、木質感などの高いデザイン性と強度をもつことが特長です。

WSで生まれたアイデアの中で、岡部さんのイチ押しは、「香るタンブラー×生分解CeF」。香りや成分が長期間、少しずつ放出され続ける「徐放性」という特徴を活かして、香る食器をつくるというアイデアです。注ぐだけで風味がつくため、ドリンクの新しい楽しみ方を提案できることが魅力。多種多様なドリンクを提供するバーとリンクさせた「セルロースファイBAR」というキャッチコピーと、素材の特性とリンクした内容がお気に入りです。

マテリアル・マルシェ(詳しくはこちら)やグラファイトCuroの動画(動画はこちら)の活動を通して、MACの存在を知ったという岡部さん。ワークショップへの参加にあたり「アイデアイラストとキャッチコピーを両方考えていただけるため、色んな立場・分野の方にも素材の特徴が伝わりやすいものができそう」と期待を寄せていたといいます。

商品の使い手を想像して発想する視点で、優しい気持ちになれた
岡部さん(MI本部、生産・環境技術研究所)

開発素材の独自性を活かした製品を開発するために、既存の材料とは異なる特長を上手くアピールしたいと考えていました。MACのみなさんが材料のことをよく知ろうとしてくださり、経験からくる先入観なく、幅広いアイデアを出してくれたのが印象的でした。
私自身も、技術者以外の人たちと入り混じって、自分の開発している技術を組みこんだ商品を使う人の喜びや驚きを想像しながら考えてみることで、使い手の気持ちに寄り添う視点が鍛えられて。WSを通して、とても優しい気持ちになりました。

一方の高橋さんは、紫外線を当てると光るナノサイズの半導体の粒子「量子ドット」の材料合成技術開発を担当しています。一般的な量子ドットは、カドミウムなどの有害物質を使用することが多いのですが、当社の量子ドットはカドミウムフリーで環境にやさしく、かつ高い発光特性を実現することが特徴です。

WSで生まれたアイデアの中で、高橋さんのイチ押しは、「侘び寂び×量子ドット 」。量子間の距離の変化で色が変わる特性を利用して、季節の温湿度の変化で、四季折々に移ろう器のアイデアです。都会で暮らしていても、季節の変化を実感して心を穏やかにできる新アイテムで、おうちで器を眺めて四季を感じる、新しい習慣が生まれるかもしれません。

「技術者とは別の視点を入れることで、どこをアピールすれば刺さるのかの知見を借りたかった」という高橋さん。素材にとらわれない自由な発想で多くのアイデアを生み出し、それらをすぐさまイラストやキャッチコピーで表現していくクリエイターとのWSは、とても刺激的だったようです。

柔軟な発想で自由にアイデアをソウゾウできるWS
高橋さん(MI本部、生産・環境技術研究所)

広告クリエイターと共創することで、色んな立場・分野の方に素材の魅力が伝わるといいなと思っていました。特に印象的だったのは、植物や虫に関するような自然界現象からアイデアを膨らませてもらったり、量子ドットにとらわれないアイデアを出していただいたこと。特性の目標値や現状値から展開の可否を説明するようなことはなく、柔軟な発想で自由にアイデアを言い合える、夢のあるWSでした。

業種は違っていても「ユニークなものを世に出したい」という気持ちは同じ

広告クリエイターの代表としては、MACのアートディレクターの岩井さんが参加。岩井さんは、パナソニックグループや他社の広告の企画、キービジュアルの制作を担当しています。2021年の_and Materialのオンライン展示会「マテリアル・マルシェ」を制作したことで、今回のWS企画へと繋がりました。

自分がアイデアを生むだけでなく、誰かがアイデアを生むお手伝いもしたい
岩井さん(クリエイターズグループMAC、アートディレクター)

企画にあたって最も意識したのは、技術者の方がWSに参加している一体感を出すことです。今はみんながクリエイティブに参加できるのが普通になってきています。MI本部さんからご相談を受けたときも、時代の流れを感じました。私たちMACチームは、普段の広告制作で培った発想力でアイデアを提供することはもちろん、技術者の方が考えたアイデアを、魅力的なかたちで定着させるお手伝いもしたいと思いました。
そのために、普段、感覚や経験でこなしているアイデア出しのプロセスやブレストのやり方を、初めての方でもわかりやすくお伝えできるように、言語化・可視化してワークフローやWSツールに落としこみました。

WS開催前は、ブレストがうまく盛り上がるか不安もありました。けれど、いざディスカッションが始まってみると、技術者の方はアイデアを発言することに全く抵抗がなく、ユニークで尖ったアイデアがどんどん出てきて、それらを整理する方が大変でした(笑)。

WSを通して感じたのは、業種は違っていても「おもしろいものを作りたい、世に出したい」という気持ちは同じということです。今回、技術者の方と出したアイデアの種が、実際に世の中で具体化するところをぜひ見てみたいし、これからもクリエイティブとしてお力になれればと思います。

WSの盛り上げに一役買ったのが、参加者のマイブームやアイデアの種を書き出す「アイデアのタネカード」(詳しくはこちら)。もともとは「Material Marche Workshop」のために制作したものですが、このカードの存在が、短時間のWSでスムーズにゴールへと到達するカギとなったようです。
また、アイデアを「5W1Hシート」で整理することで、具体的な内容をチームで効率よく検討することができました。

すぐ実践できる!広告クリエイターの発想術

最後に、数々の広告賞受賞歴を持つ岩井さんに、技術者とのWSで改めて実感した、広告クリエイターならではのアイデア発想のコツを聞いてみました!

コツ①:商品からだけでなく、世の中のニーズからも考えてみる
「①企業の視点(社内で支持されるか)」「②社会の視点(ユーザーから支持されるか)」「③自分の視点(自分が支持できるか)」の3つの視点からアイデアを見て、求められている課題に対して正しい位置にあるか、視点が極端に偏っていないか客観的に確認するようにしています。
社内のWSでは①の視点に寄っていく場合があるため、今回はあらかじめ用意したカードに、自分のマイブームを記入してもらい、活用することで、②や③の視点を取り入れるよう工夫していました。
 
コツ②:アイデアをなるべく短い文章にしてみる
アイデアを人に伝えるのは言葉です。また、短い言葉で伝わる=より早く他人に理解してもらえるということ。自分のアイデアを言葉で要約してみて、意図が最も効果的に伝わりそうなものを選んでみましょう。「どこでもドア」など、ドラえもんの秘密道具のネーミングを参考にしてみるのもオススメですよ。言葉を選ぶ作業は、自分の考えも整理・洗練されるため、アイデアの内容もブレにくくなります。
今回のWSでも「虫を無視するドア」「半永久的ヒレ酒」など、言葉でキャッチ―に伝わるアイデアは、ディスカッションでも盛り上がりましたし、最終的に残るアイデアになりました。
 
コツ③:チームで短時間に解決する
広告制作のプロセスでは、コピーライターが考えたキャッチコピーをヒントに、デザイナーがビジュアルを考えたり、その逆もあります。そうやって、個人で考えたアイデアに対して、チームで検討することで、1人では気付けない視点を短時間で得られます。最終的には、アートディレクターのような、より魅力的な視点や意見の取捨選択を行う役目の人がいるとスムーズになります。
今回のWSも技術者の方とお互いに異なった視点でアイデアを出し合うことで、短時間ではありましたが、濃密なWSを実現できました。
 
<もし、行き詰まったら…>気分転換にお散歩してみる?
誰も考えたことのない、オリジナルのアイデアというのは、なかなかないのではないでしょうか。アイデアを考えるという作業は、求められている課題を整理して、過去に見た、経験したもの(映画や小説、アート)などから、近いものを引き出して、アレンジしている作業だと考えます。机に向かって行き詰まったら、少し体を動かして散歩してみると、ふとしたことで、過去の知識と今の考えが結びついたりするので、行き詰まったら少し歩くようにしています。
今回のWSでも、複数日にワークを分けることで、新鮮な気持ちでアイデア発想ができたと感じています。

技術者×広告クリエイター。互いの視点の違いから、新たに多くの発見とアイデアが生まれた今回のWS 。
マテリアル(化学素材)を起点に未来の暮らしをソウゾウする「_and Material」では、テクノロジー、クリエイティブ、ビジネスなど、異なるスキルを持つメンバーが互いの強みを掛け合わせ、これからもユニークなアイデアをソウゾウしていきます。
アイデアを生み出したい素材があれば、ぜひ「_and Material」とクリエイターズグループMACにご相談ください!

▼「_and Material」へのお問い合わせはこちら!
and.material@gg.jp.panasonic.com
▼クリエイターズグループMACへのお問い合わせはこちら!
https://www.cgm.co.jp/

これからも、テクノロジー×クリエイティブで化学素材の魅力を伝える取り組みをご紹介します。どうぞお楽しみに!


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