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コンセプトは「ノモの国」。2025年大阪・関西万博キックオフイベント

2025年「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)。その万博のちょうど1000日前にあたる2022年7月18日、パナソニックセンター東京で「大阪・関西万博 1000日前キックオフイベント」が開催されました。
 
パナソニック創業の地・大阪で、約55年ぶりに開催される万博――。キックオフイベントでは、パナソニックは万博にパビリオン出展を通じて貢献していくこと。そして、パビリオンのコンセプトとなる「ノモの国」について発表されました。万博担当参与の小川理子さんと、パビリオンの建築デザインを担当する永山祐子さんのトークセッションからその世界をのぞいてみましょう。

子どもたちが「天分」に気づくきっかけを

――すべてのモノはつながっている。人の営みも、自然の営みも、ぐるりと一巡するような、720°循環の世界。これまでの常識や思い込みも通用しない。それが「ノモの国」。
 
イベント冒頭、小川が「ノモの国」誕生の経緯について語りました。

万博担当参与 小川理子

小川: これまで私たちは、地球環境や、自分の周囲の世界・事象を外部の『モノ』として扱ってきました。そのため、外の世界では課題が山積みになっていて、それを解決していく必要がある。解決していかなければ、世界はどんどん暗い方向に向かってしまう……。そんなふうに考えてしまいがちでした。しかし、今後は大人が社会課題を示して、その解決策を子どもたちに求めるのではなく、子どもたち自身が、一人ひとりが本来秘めている可能性=天分(てんぶん)に気づくことができれば、きっと未来は明るいはず。『ノモの国』では、子どもたちをさまざまな常識や思いこみから解き放ち、ドキドキ・ワクワクし、天分を見つけられるような場にしていきたいと考えています。
 
続いてパビリオンのメッセージが発表されます。キャッチコピーは「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい」。
 
「ノモの国」は「モノ(物)」を逆さまにした言葉です。「様々なモノはココロの持ちようによってその捉え方が変わってくるものであり、モノはココロの写し鏡である」というパナソニックの思いから、着想を得ています。
 
パビリオンは、子どもたちの感性を解き放つ「ノモの国」と、そこでの気づきをあたたかく受け止める「大地」という二つの要素で構成されます。
 
今回、大阪・関西万博でパナソニックのパビリオンの建築デザインを手掛けるのは、永山祐子さん。永山さんは、前回のドバイ万博で日本館のデザインを手掛けられた経験をお持ちです。
 
永山: 『ノモの国』という素晴らしいコンセプトに、とても共感しています。そんな『ノモの国』を包み込む建築はどうあるべきか、子どもたちに、解き放たれる感覚を持ってもらうにはどうすればいいか。ずっと思いを巡らせていました。

パビリオン建築デザイナー 永山祐子氏

そう話す永山さんが提案したのは、軽やかで、自由で、建物全体がシャボン玉に包まれたような新しい建築デザイン。
うすいベールが建物全体をぐるり取り囲み、その美しさに来場者の目は瞬く間に惹きつけられていきました。

パビリオン 外観イメージ(2022年7月時点)

永山: この世界は常に循環し、絶えずうつろいゆくため、未来はどうなるかわかりません。これらを、モチーフで表現しています。風でゆらぐような、皮膚感覚に近い建築デザインを目指しました。モチーフが集まることで、結果として『建物』という有機的な存在を形成しています。
 
モチーフは光が当たることによって色が変わるよう、膜が張られています。
今回発表されたパースが出来上がる前に、ラフスケッチを見ていたという万博担当参与の小川。
 
小川: 子どもたちの天分を解き放つために、しなやかで、軽やかで、あたたかい、そんなデザインを建物で表現できないかなと思っていたら、永山さんも同じことをおっしゃっていて。ラフを見た時から『これはいいものができるに違いない』と感じ、私もわくわくしていました。
 
「ノモの国」のコンセプトや、新しい建築デザインに対して意気投合する二人。来る、大阪・関西万博についての思いを語りました。
 
永山: ドバイ万博に関わった際、いろんな国の人が集まり、同じ目標に向かって場をつくりあげていく熱気を感じました。けれども、コロナ禍の影響もあり、日本の方々に万博を楽しんでもらえる機会がほとんどなかったんです。本来、万博は建物の完成がゴールではなく、むしろそこからがスタートだと思っています。たくさんの人が同じ場所に集まり、未来について考え、話し合っていく。『ノモの国』でそんな場を提供できればと思っています。コロナ禍など、世の中が暗いムードになってしまいがちですが、万博では訪れた人たちに『未来は明るい』『みんなで素敵な未来をつくっていけるんだ』と感じてもらいたいですね。
 
 
小川: 私は1970年の大阪万博に行ったことがあるんです。その時、『世界ってすごい!』と、ものすごく強烈な印象を受けて。期間中、何度も通ってしまいました。今思えば、その時の大人たちが『次の世代に明るい未来を』と、とても頑張ってくれていたんだなと。今度は私が大人の立場なので、使命感を感じています。今後、子どもたちの前にはきっと、たくさんの人生の選択肢やチャンスが訪れ、どれを掴むかは子どもたちの自由。万博も、ただ目の前を通り過ぎていくものではなく、そのような機会のひとつになれたら、と思っています。

トークセッションの様子

みらいは、きっと明るい

トークセッション終了後は、来場者のみなさんから多くの質問をいただきました。
現在、高校3年生の生徒からの「たくさんの選択肢がある中で、自分の未来をどう選んでいけばいいかわからない」という質問に、二人が熱いメッセージを送る場面も。
 
永山: 私も、どんな未来を選ぶべきか、迷った時期がありました。その時に『やりたいこと探し』ではなく、『やらなくていいこと探し』をやってみたんです。最初から本当にやりたいことを見つけるのって、難しいと考えていて。興味を持ったらまず始めてみて、『ちょっと違うかも』って思ったらバツをつけて次に進む。そうして、最後に残ったものに集中する。そんな方法も検討してみてください。
 
 
小川: 会社に入って30年になりますが、やりたいことばかりできたかと言うと、そうではありません。時には、遠回りもしました。けれども、自分は何を大切にしたいんだろうと常に問いかけながら、どんなことにも一生懸命に取り組んでいるうちに、『あ、これだ』と確信に変わる瞬間がありました。

これまでの常識にとらわれず、こころ、からだ、せかい、じぶん、そしてみらいを解き放つ。
パナソニックの「ノモの国」にご期待ください!