私がポジティブに生きることを後押しした「やさしさと縄文」の物語
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私がポジティブに生きることを後押しした「やさしさと縄文」の物語

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「若鳥よ。烈風に身をかがめるな。はばたけ。まろびつころびつ限りなくはばたけ。」 

創業者・松下幸之助は未来を担う若者たちへの応援メッセージを数多く残しています。その思いは、いまもわたしたちの大きなテーマのひとつ。

連載企画「youth for life(ユースフォーライフ)」では、若者が、自分や誰かの人生とくらしのために、その「青年の力(興味、関心、熱意、素直な心)」を大いにのびのびと、正しく使おうと模索する姿を発信していきます。

第3回目となる今回も、2020年冬に開催されたオンラインプログラム「やさしさラボ」の参加メンバーで、2021年11月にAkeruEで開催された「土器を楽しく作ろう」の主催者でもある「石棒クラブ」の小林遼香さんにお話を伺います。

PRのお仕事をしながら、ライフワークとして縄文時代の石器「石棒(せきぼう)」の世界を追求している小林さん。「やさしさラボ」への参加を通して、どのような変化や発見があったのでしょうか。

小林遼香(こばやし・はるか)
1995年兵庫県生まれ。学生時代は演劇、映画を学ぶ。大学卒業後、大手通信会社をへて現在はPR代理店勤務。飛騨市ファンクラブで、広報PRに従事したことがきっかけで石棒クラブと出会う。オンラインタイムスリップやオンラインクイズなどさまざまな企画立案・運営を経験。今回の土器づくりワークショップのメイン企画担当。

10分で完売! 異色ながらも大盛況だった「土器を楽しく作ろう」

――先日、AkeruEで開催されたイベント「土器を楽しく作ろう」はいかがでしたか?

 小林: とっても盛況でした! 先着20組で参加者を募ったところ、10分くらいで満席になりました。AkeruEのような最先端の場所で「古いもの」に触れるということが、子どもたちにとっては逆に「新しいもの」として映ったのかもしれないですね。

私がボランティアで参加している「石棒クラブ」という団体では、さまざまなイベントを企画していて、今回もその一環として「昔の人から学ぶやさしい暮らし」をテーマに、小学生といっしょに土器をつくりました。

2021年11月13日に開催されたイベント「土器を楽しくつくろう 昔の人から学ぶやさしい暮らし。」では、参加した20名の小学生とともに土器づくりに挑戦した。

小林: 縄文時代って、わからないことが多いですよね。きっと子どもたちにとっては、もっとなんだかよくわからないもの。そんな子どもたちにも「こういう時代が本当にあったんだ」と昔に思いをはせてもらいたい、と企画したのがきっかけです。「勉強しなきゃ、暗記しなきゃ」という気持ちで歴史に触れてしまうと、どうしてもつまらなくなってしまうじゃないですか。まだ何も接点のないときに触れることで、「よくわからないけどおもしろかった」という印象を残し、その後に学校で勉強して、点と点がつながるような体験をしてもらいたいと思い、企画しました。

――このイベントをAkeruEで開催したのは、なぜだったのでしょう?

 小林: 「正解を提示しない」というAkeruEのコンセプトが、すごく好きなんです。個人的には多くの美術館や博物館は「●●という有名人がつくったすごいものです」と、いわゆる正解のように展示している印象があります。それはそれで楽しめるし学びになりますが、AkeruEのようによくわからない不思議なものに触れて自ら想像し、仮説を立ててアウトプットできる場はなかなかないと思います。正解はないものとして自由に表現できるのが、謎に包まれている縄文時代と好相性だと思いました。

ところで、「石棒クラブ」って何?

――「石棒クラブ」について教えてください。

 小林: 「石棒クラブ」は、2019年3月に岐阜県飛騨市で誕生したプロジェクト兼コミュニティで、楽天が飛騨市と共同で取り組んでいる「関係人口プロジェクト」の一環で企画されたのがはじまりです。「石棒」というのは男性器を模した縄文時代の石器で、祈りをささげる道具として、子孫繁栄の願いが込められていたと言われています。地域に1つ、2つ出土したら驚かれる希少なものなのですが、飛騨市宮川町はなんと1074個も出土していて、石棒の「聖地」と言われているんです。

「飛騨みやがわ考古民俗館」という小規模ミュージアムを拠点にしているので、そのミュージアムのあり方を模索するのが活動の前提にはるのですが、やはり石棒そのものがやっぱりコンテンツとしても奥深くおもしろいので、そこをうまく話題化させて、石棒にもミュージアムにも興味を持ってもらおうと活動しています。

飛騨みやがわ考古民俗館に展示されている石棒(写真中央)
出典:飛騨市の文化財(http://hida-bunka.jp/

――小林さんが「石棒クラブ」を知ったきっかけは何だったのでしょうか?

 小林: クラブが発足した当時、私は前職の副業として、飛騨市の関係人口を増やす「飛騨市ファンクラブ」の広報PRを手伝っていました。関係人口を増やすなら、その地域の魅力的な人を広報することが大事だと思い、地域のおもしろい人たちに会っていく中で、飛騨みやがわ考古民俗館の学芸員の三好さんに出会いました。

そのときにうかがった石棒の話がとても興味深くて、「(石棒クラブに)入らせてください」と直談判したのがきっかけです。

微じんも関心のなかった縄文時代が「ビビッと」きた理由

――考古学や縄文時代などの歴史には、以前から興味があったのですか?

小林: それが全然(笑)。考古学なんて微じんも触れたことがありませんでしたし、縄文時代をおもしろいと思ったことも正直なかったです。ただ、縄文時代の死生観がビビッときました。

これは調査中の情報で確実ではないのですが、石棒1本を作るのに一日約7〜8時間、数年単位で時間を費やして作るらしいんです。それを祭典でまつって祈りをささげた後に、自ら壊しているようなんです。かなりの労力をかけてつくったのに木っ端微じんに壊しているというのは、現代人としては謎じゃないですか? 

考古学者・山田康弘さんの縄文人の死生観という本によれば、縄文時代には石棒以外にも一度使った呪物は壊して破壊する、という観念があったと言われているそうです。

縄文土器の3Dをつくる石棒クラブの合宿風景

縄文時代の人には、形や物が見えなくなっても循環する、という死生観があったのかなと思います。ずっと保存・維持されていることだけが「生きている」ということではなくて、壊した後にも鳥などに姿形を変えてずっと生き続ける、みたいな。そういう考えに出会ったのがちょうどコロナが広がる直前の時期で、とても深く響きました。

 ――すごく生き生きとお話しされている様子から、活動を楽しんでいらっしゃるのが伝わってきます。

 小林: 楽しいですね。ひとつは縄文を広めるだけでなく、小規模ミュージアムの今後のあり方を考えることが楽しいです。 高校が演劇科で、大学では映画を学んで、ずっと芸術よりの勉強をしてきたので、なにか文化に貢献できるような活動をしたいと以前から考えていました。

クラブで活動していると、小規模ミュージアムの会合もたびたびあります。そこには全国からさまざまな小規模ミュージアムの方が集まります。石棒クラブの活動を横展開してもらうこともあって、自分たちの活動が国内の小規模ミュージアムの活性化にもつながっているんだと思うと、すごくやりがいを感じますね。

もうひとつは、縄文時代が純粋に好きな方と話す機会が増えたことが楽しいですね。たとえばTwitterで縄文関係のつぶやきをすると、縄文好きな方が反応してくれるんです。昨年イベントを開催した際には、『縄文 ZINE』というフリーペーパーの編集長の望月昭秀さんに来ていただいたり、星野概念さんという精神科医に来ていただいたり。普通に暮らしていたらこんな著名な方とお話しする機会はないですし、真面目に縄文好きな方々と縄文時代について語り合う空気感がとても心地よいです。

「やさしい」を要素分解したら、いろいろなものをはらんでいることに気づいた

――「やさしさラボ」に参加された経緯を教えてください。

 小林: Facebookで偶然「やさしさラボ」の参加者募集を見たのが最初です。ちょうどコロナ禍のまっただ中で、あらためてウイルスという目に見えないもの脅威と人間のはかなさに漠然と不安を抱えていたころでした。

自分自身「やさしさ」に飢えていて、「やさしさ」についてもう少し深く知りたいと思ったんです。また、現代の「やさしい」という定義を、縄文時代や文化の軸で切り取ったらどうなるだろう、ということも思って応募しました。

――実際に参加してみて、どうでしたか?

 小林: 思ったより深いところまで話すんだな、と驚きました。もっとふわっとしている感じなのかなと思ったら、1日8時間くらいがっつりお話しして。

「やさしさとは何か」という問いは、答えがないものだと思います。でも、自分の中の「やさしい」という一単語が要素分解されて、「やさしい」という単語の中にもいろいろなものがはらんでいるということが理解できました。

 ――特に印象に残っているシーンはありますか?

 小林: プログラムの中で、池袋の法明寺の住職の方とお話しする機会があったのですが、ちょうどプライベートでちょっと苦しいなと思うことがあって、くよくよしている自分を許容できないでいたんです。なので、「何かを許すためにはどうしたら良いんでしょうか?」という質問をしたところ「苦しみを8つに分けると良い」という実践的なアドバイスをいただきました苦しみの正体がこれなんだ、とわかるとわりと冷静になれるんですよね。いまも自分の支えになっています。

全体を通して、やさしさラボに参加して良かったと思うのは、オンラインサロンメンバーと出会えたことですね。はじめましての方々と「やさしさって何だろう?」と真面目にディスカッションをするのは、とても楽しかったです。やさしさについて話し合うとき、自分のプライベートな具体例を出さないと伝わらない部分もあるんです。

そこをみんな、言える範囲内ででも伝わるように言語化しているときなんて、会話というより対話ができた、という感じがしましたね。

みんながポジティブに生きていけるストーリーを伝えたい

――今後のビジョンや、なりたい姿というものはありますか?

 小林: 高校、大学と、脚本を書いたり物語づくりに関わってきました。いまもPRとしてストーリーを伝える、ということに携わっています。石棒クラブもそうですし、物でも人でも、そのものがもつストーリーをたいせつにして伝えていける人になりたいです。

私自身、飛騨や縄文を通じて、違う視点から自分自身を見つめることででポジティブに生きられるようになりました。「やさしさラボ」でもいろいろな考えを持つ方と対話していくことで、いろんな視点から物事を見られるようになり、以前よりさらにポジティブになった気がします。

やさしさラボや縄文が持つストーリーが、私がポジティブに生きられるための考え方とたまたまうまく合致したからだと思います。こんなふうに、みんながポジティブに生きられるストーリーに出会えたらいいな。自分も何かそこに役立つ人間になりたいと思っています。

最近は、友人たちと、かわいいニップレスをつくる取り組みをしています。ブラジャーや下着は女性の体を締め付けるだけではなくて、思考にも影響を与えているんじゃないかと思っていて、胸や体を解放することでポジティブに生きていける毎日を送ってほしいという考えのもと、挑戦しています。

 ――確かに、固定観念を変えていくためには、ストーリーも大事になってきますね。

 小林: ストーリーにもいろいろなものがあると思うのですが、私の場合はそれを明るい方向で生きられたり、何かにプラスになるという視点で伝えていきたいと思っています。

――小林さんのご経験から、同世代の方々や次の世代の方々にメッセージをお願いします。

 小林: これまでを振り返ってみて、私は「興味があるものにとりあえず飛び込んでみる」ということしかやっていないなと感じています。演劇科に行ったのも、陸上競技で怪我をして走れなくなったことをきっかけに、まったく違うことをやってみたいなと思ったから。縄文も、知識も何もなくおもしろそうだから飛び込んでみましたし、「やさしさラボ」も、別にSDGsの活動をやっていたわけでもないのですが「突き詰めたい」という想いから飛び込んでみました。飛び込むことで自分がいた世界だけが正解ではないということに気づけました。

知らない世界に飛び込むのは、人によっては怖いと感じるかもしれませんが、私の経験上、その後は絶対楽しいので、個人的にはぜひ飛び込んでみることをおすすめします。

人生1度きりですし、とりあえず行ってみて、違ったらやめたらいいんじゃないかなと思います。その中で残っていったものが、自分にフィットするものなのかなと思いますね。

 ――「違うな」というものがあったから、「合っている」がわかるのかもしれないですね。

 小林: そうですね。「やっぱり自分にフィットするのはここだな」というのは、飛び込んだ経験が多くなればなるほどわかってくるところがあるんじゃないかと思います。





 

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