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【舞台裏のレッツノート】自己決定と修正を繰り返し、よりよい働き方を選べればいい

モバイルワーカーのツールとして長年「どこでも」働く人々をサポートしてきたレッツノートは今年で25周年。「どこでも」だけでなく、「いつでも」「誰とでも」働ける新しいワークスタイル「ハイブリッドワーク」をサポートすることで、これからも日々の仕事を支えます。

今回の「舞台裏のレッツノート」シリーズでは、レッツノート25周年を記念してレッツノートをご愛用いただいている、時代を切り拓くビジネスパーソンにインタビューしていきます。今回は国内シェアトップクラスのグループウェアを手掛け、先進的な人事制度を多数導入するサイボウズ株式会社の人事本部長兼法務統制本部長・中根弓佳さんに、それぞれに合った働き方を実現するためのさまざまな工夫や、「これからの働き方」についてうかがいました。

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中根弓佳(なかね・ゆみか)
サイボウズ株式会社人事本部長兼法務統制本部長。慶応義塾大学法学部卒業後、1999年にエネルギー会社に就職。2年後にサイボウズに転職し、知財法務部門にて著作権訴訟対応やM&A法務などに携わる。その後、2007年・2009年に出産、育児休暇取得後に人事領域も手掛けるようになり、制度策定や採用に従事する。2019年1月より現職。


視野を狭めず「その人にとっての本当の幸せ」を考える

――サイボウズでは、「複業採用」「副(複)業の許可」「働き⽅宣⾔制度」といった、働き方の多様性に関する様々な制度が整備されています。その背景について教えていただけますか?

中根: 「サイボウズが実現したい働き方・暮らし方は何だろう」と考えたとき、それは一人ひとりが、仕事に限らず、社会的に価値や意義を感じながら生活できることでした。そして、それなら「今日の午後は複業で休みます」と「子どもが熱を出したので午後は休みます」は、「チームにとって何か違うのだろう。いや、違わないよね」という考えになったんです。どちらの人も、チームの仕事をしない時間という点では変わらない、普段からサイボウズに同じように貢献してくれているということも変わらないよね、と。

――それなら、社員の方が別に仕事を持っていても、それはその人の生き方ではないか、と。

中根: はい。ただ、口で言うのは簡単ですが、そういう環境がすぐにできるわけではありません。制度だけを整理すればいいわけではなく、私たちには思い込みや固定観念があります。中には「こんなに忙しいのに何で複業を?」と思う人もいるでしょうし、「それよりこっちの仕事をやってほしい」と思う人もいるでしょう。そこで、そういった感情的な要素と向き合い、制度やルールをすり合わせながら、色々な議論を重ねました。「でも、ちょっと考えてみようよ」と対話を続け、社内での理解を積み上げていきました。

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――中根さんはもともと知財法務のお仕事を担当したのち、現在では人事領域も含めてチームを統括する役目をされています。どんな経緯で現在のお仕事をされるようになったのでしょう?

中根: 私は2001年、知財法務担当で入社しました。当時は少人数で、知財法務担当は私だけでした。そこからずっとキャリアを積んで、2007年に第一子を、2009年に第二子を出産した際に、私自身の働き方も含めて色々なことを考える経験をしました。

人事の仕事をはじめたのは、そのタイミングで「やりませんか?」とお声がけをいただいたのがきっかけです。当時は一度「無理です」とお断りしたんですが、出産などを経験する中で、「誰かの人生に寄り添うこと」と「働くこと」は密接につながっていると実感しました。

――大きなライフイベントを経験されたことが転機になったのですね。

中根: 第一子を産んだときに、人の見方が変わったと思います。赤ちゃんはすごく可愛いですが、放っておいたら一人では生きてはいけない。会社で働く一人ひとりも、そうやってそれぞれが愛されて育ってきた、大切な存在なんだな、と痛感しました。人事の仕事でも、そのことを踏まえて、それぞれの人生をサポートしたいと思っています。

――サイボウズさんは「100 ⼈ 100 通りの働き⽅」を掲げていらっしゃいますね。

中根: そうですね。それはつまり、「サイボウズで働く」だけが幸せではないということなんです。もちろん、私はサイボウズの人事ですから、サイボウズが実現したい「チームワークあふれる社会」を目指し、会社の一員になってもらうために環境を整えています。

ですが、本来はそれぞれに会社以外にも大切なものがあるはずです。そのように、視野を狭くせずに「その人にとっての本当の幸せとは何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。

――そのような考えに至ったきっかけなどはありますか?

中根: 以前のサイボウズは離職率が高く、「変わらなければいけない」という強い想いというか、焦りもあり、企業理念を変えて、私たちの本当の目的は何なのかを見つめ直したときがありました。そして、ちょうど会社が変わりはじめたのが、私が第一子を産んだタイミングでした。仲間が辞めていく中で、私は「自分に何ができるだろう」と考えていました。

産休中に転職のお誘いもいただきましたが、夫から「自分がチャレンジしようと決めた場所にいるのだから、できることをやって、それでもダメなら他の可能性を探せばいいんじゃない?」と言われたことで、サイボウズに戻ることを決めました。

その時点で、代表の青野と前任者の山田が人事制度の変革に向けて動きはじめていて、私は従業員視点でのサポート役として加わり、2014年に人事部門長を引き継ぎました。

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仕事とプライベートは「どちらが大事か?」を選ぶものではない

――働く環境を整えて制度を変革していくなかで、どのようなことを考えましたか?

中根: まずはメンバーとの対話を積み重ねることから始めて、2015年にオフィス移転をして現在の日本橋に来たとき、もっと働く環境を支えるシステムの必要性を感じました。サイボウズでは以前からリモートワークを取り入れていましたし、複業もできるようになってはいました。オフィス内の様子を配信して、リモートワークでも何となくその様子が遠目からわかるようにもしていたんです。

しかし当時のシステムが、本当にリモートでの業務に耐えられるものだったかというと、そうではありませんでした。そこで、日本橋に移転した際に「さまざまな人や情報が集まる場所、チームワークのハブにしよう」という理想のもとに、情報システム部門ががんばってくれて、品質や使い勝手のよいビデオ会議システムを導入しました。すると、一気にリモートワークが増えました。

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出社率は10%前後というサイボウズのオフィス

――リモートワークが増えたことで、変化はありますか?

中根: オフィス投資もきっかけになり、働き方の選択肢が増えたことは大きな変化だと思います。たとえば、日本橋に移る前後には、求人に対する女性の応募が増えました。自宅からでも働けることで、より多くの人がサイボウズにジョインできるようになったんです。

コロナ禍になる以前も、約7割の社員がオフィスに出社し、残りの約3割が外出先か自宅で仕事をしていました。私自身も、コロナ禍以前からリモートワークを利用していました。どのような時に利用していたかというと、例えば、小学校の交差点での通学時サポート。出社する必要があると、朝は子どもの通学路の交差点で旗持ちをして、14時に出社して、午後休を取ってまた旗持ちをしなければいけません。

ですが、リモートワークで自宅にいれば、それが一時抜けで対応できてしまいます。平日の昼間に布団を干したり、スーパーに行ったりすることも可能です。小さなことですが、それによって本当に家事の負荷、心理的負担は減ります。

また、リモートが中心になったことで、短時間勤務の人が減るという面白い現象も起きました。特に女性に多かったですが、出社の必要があると短時間しか働けなかった人が、本人の希望で「自宅ならあと一時間働ける」と働き方を変化させたんです。これは、選択肢を増やした結果です。当然ながら、勤務時間を延ばしたくない人は延ばす必要はありませんが、もっと働きたい人が働く選択肢を広げることができました。

私たちは、仕事とプライベートは「どちらが大事か?」と選ぶものではなく、「どちらも大事」だと思っています。それぞれの生き方の中で、その人の人生そのものが豊かになる経験があるなら、サイボウズでの経験だけでなく、そちらも大切にしてほしい。たとえば、「複業」といって難しく考えなくても、ペットを育てるということでもいいかもしれません。

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オフィス内の Barは中根さんお気に入りのスペース

――働き方の選択肢が増えて、仕事での情報共有や日々のコミュニケーションが難しくなることはなかったのでしょうか。

中根: やはり、グループウェアの重要性は増したと感じますね。サイボウズには色々な人が来てくださっていて、なかには最初から「週4日間だけ働きたいです」とジョインした人もいます。コロナ禍に関係なく、たとえば時短で働く人と、フルタイムで働く人が同じチームで仕事をする際も、グループウェアをうまく使えば、時間や場所、状況に関係なく情報の格差を減らすことができます。

また、お互いの仕事をフォローし合うために情報を共有するので、自分とは別の視点から、より効率的なやり方を知る機会も生まれます。「この方がもっと便利ですよ」「このツールを使えば自動化できますよ」とノウハウを共有することで、仕事がさらに効率化され、小さなイノベーションが頻繁に起こるようになりました。

そして、グループウェアへの入口になってくれているのが、私の場合は、情報システム部門のメンバーが用意してくれたスマートフォンと、レッツノートなんです。

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中根さん愛用のスマートフォンとレッツノート

――中根さんがレッツノートを選んだきっかけはなんだったのでしょうか?

中根: 情報システム部門のメンバーにおすすめしてもらったんです。特にコロナ禍になる前は移動の多いワークスタイルで出張が多く、外で講演させていただく機会もありました。ですから、軽くてバッテリーの持ちがいいことはとても重要です。

また、講演先の設備がどんなものだったとしても、レッツノートなら様々なコネクタに対応可能ということで決めました。色々なシチュエーションに対応できるので非常に助かります。当社のPCの交換サイクルは2年なのですが、私はずっとレッツノートを選んでいます。

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必要なのは「どういう状態が幸せか」を考えて自己決定をすること

――サイボウズでは、自分自身の働き方を決められる「働き方宣言制度」を用意されています。「理想の働き方を宣言してもらい、その内容に応じて報酬を決める」という制度を実現する裏側では、苦労もあったのではないでしょうか?

中根: あえて挙げるなら、報酬をどう決めるかは、慎重に考えた部分かもしれません。私自身も復職した際に感じたことですが、人が働く際に「幸せ」と感じる要素は、給料の額面だけではありません。

満足できる報酬は人によって違いますし、同じ社員でも、バリバリ働いて高い報酬がほしい人もいれば、自分の時間を優先したい人もいます。つまり、人によって報酬の評価基準は違うんです。だからこそ、まずはその部分でしっかり会話をして、それぞれの求める評価基準を決めることが大事だと思っています。

――中根さん自身も、子育てやBリーグ(国内男子プロバスケットボールのリーグ)の外部理事など、様々な活動をされているそうですね。

中根: 子どもがいるので母親ですし、夫がいるので妻ですし、子どものサッカーの役員や中学校のPTAを務めていて、Bリーグの外部理事の仕事とサイボウズの仕事もしています。ですが、やはり思うのは、「すべての場所から学びがある」ということです。

私の中では、そのすべてはサイボウズが掲げる「チームワークあふれる社会をつくる」ことにもつながっています。大好きなスポーツも、子育てや教育も、女性のサポートもすべて、学習の場、気づきの場、つながりの場を与えてもらっているような感覚で、他では得られない体験ができるものばかりだと感じています。そして、そういった会社外に広がる要素が、メンバーそれぞれにあると思っています。

ですから、報酬は「どんな働き方で」「どんな仕事をして」「いくらほしいのか」という3点についてそれぞれがコミュニケーションをとって決定しています。もちろん、こうした制度は人事だけでは形になりません。制度を理解し、おかしい、もっといい方法があると思ったときにアイデアをくれるメンバーひとりひとりや、自分たちの部門ごとにアジャストしてくれる部門のリーダーの協力を得て、理想に近づけるよう日々アップデートしています。

これはサイボウズのメンバーのためであると同時に、人事部門メンバーにとっても自身のためでもあります。理想に近づくにはまだまだやれることがあります。チャレンジには終わりがないですね。

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――社員の方々の自立も必要になりそうな制度ですね。

中根: 確かに、選択肢って増えれば増えるほど迷いますよね。たとえば「出社は9時でも11時でもいい」と言われたら、自分にとっては何時がいいかを考えなければいけません。そのとき必要なのは、「自分はどういう状態が幸せか」を考えて、自己決定をすることです。

そして間違っていたら、修正すればいいと思うんです。「何かを取る」のは「何かを捨てる」ことでもありますから、考えて選んでもらったうえで、もし間違っていたらよりよい選択をしてもらうという、自己決定を繰り返すためのサポートが大事だと思っています。

また、「働き方」というと個人のことを想像しがちですが、働くということは、チームの一員として誰かに貢献することでもあります。だからこそ、「人」と「チーム」の両方を見て、個人の幸せと、チームとしての幸せを両立させていきたいと思うんです。人は一人では生きていけませんから、「一人がよければそれでいい」ではなく、チームとしての働き方を考えることで、一人ひとりの働き方もいいものに変わるんじゃないかと思っています。


ライター/杉山 仁
撮影/佐坂 和也
監修/サイボウズ株式会社
コーポレートブランディング部 広報 大川 将司さん

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・レッツノートについて詳しくはこちらをご覧ください


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