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発想欲がわく化学素材の展示会⁈ 新米で創った「マテリアル・マルシェ」

みなさん、こんにちは!マテリアル・イノベーション・マガジン編集部です。
マテリアル(以下、化学素材)の社内オンライン展示会「マテリアル・マルシェ」をご存じでしょうか?このたび、この 「マテリアル・マルシェ」が、日本の広告写真作品のトップを決める(公社)日本広告写真家協会公募展( APAアワード)2023で「美しい日本賞」を受賞しました!
化学素材を食べ物に見立てて紹介する「マテリアル・マルシェ」の取り組みは、どのようにして生まれたのでしょうか。紐解いていくと、どうやら「若手社員」「クリエイティブ」がキーワードのよう。
今回は「マテリアル・マルシェ」の誕生秘話に迫ります。

「マテリアル・マルシェ」はこちら!

※パナソニック社員の方はこちら(teams)からもご覧になれます。
「Material Marcheへの入り口」はこちら

APA(日本広告写真家協会)についてはこちら!

若手中心のチームで目指した「発想欲がわくコンテンツづくり」

そもそも「マテリアル・マルシェ」はなぜ企画されたのでしょうか。
クリエイティブディレクションを務めた迫さんに聞いてみました。

難解なイメージの化学素材への食わず嫌いをなくしたい
迫さん/入社8年目(デザイナー、クリエイティブディレクションを担当)

パナソニックには優れた技術が生み出した、さまざまな化学素材があります。しかし、社内でも限られた社員しか知りません。そのため、化学素材の情報を一か所にアーカイブし、化学素材に親しんでもらいたいという発想は元々ありました。そうすることで、まだ使い道が定まっていない化学素材の活用アイデアも生まれたらと考えていました。
ただ、そもそも技術者以外からすると「化学素材」は難解なイメージ。馴染みのないものを、どうしたら食わず嫌いが起こらず、親しみやすく紹介できるか?が最初の大きな課題でした。

クリエイティブのチームメンバーで話し合いを重ねる中で、大切にしたのは、初めて化学素材に触れた時の「ファーストインプレッション」。今回、制作するにあたって、実際に化学素材と触れあう時間をつくったのですが、どんなに馴染みのないものでも「これって○○っぽいよね!」など、素朴に感じることがたくさんあって。その感覚が企画検討の大きなヒントになりました。

そこで「化学素材は、加工(調理)されることで完成するところが、食材に似ているね」という声が出てきたんです。チームの半数が入社1~2年目の若手社員で、ユニークな発想も言いやすい雰囲気もあったんですね。

そこから、「食べ物に例えられた化学素材が集う」という表現コンセプトを立てました。「ストレッチャブルフィルムは、パスタみたいじゃない?」「人造大理石は岩塩っぽい」とディスカッションが進んでいきました。

技術的なことを魅力的に親しみやすく伝える

「化学素材を食べ物に例える」というアイデアから始まった「マテリアル・マルシェ」。紹介する化学素材は、社内で募集し「我こそは!」と声をあげた、ストレッチャブルフィルム、ガスセンシング材料、人造大理石、グラファイト[Curo]、蛍光体、セルロースファイバー樹脂の6種類に決まりました。

紹介するからには、見た目や触感、特長、開発のきっかけや、実際にどんな製品に使われているかなど、たくさんの情報を伝えなければなりません。
6種類の化学素材それぞれの膨大な情報をまとめる作業は、どのように進められたのでしょうか?

クリエイティブ視点でテクノロジーを伝えるというチャレンジ
橋本さん/入社3年目(デザイナー、素材紹介資料を担当 )

まず、化学素材を開発した技術者の方にお話を伺うところから始めました。
私自身は実は理系で、物理や化学、生物の基礎知識はあったのですが、「マテリアル・マルシェ」は、専門用語に慣れている技術者の方だけではなく、専門知識になじみのないクリエイティブ職種や商品企画担当の方にも見ていただきたいと考えていました。
そのため、なるべく説明は平易に、でも省略し過ぎず、分かりやすい表現を心掛けました。

例えば、ガスセンシング材料の特長「空間分布計測が可能」は、言葉として難しい印象を受けたので、コピーライターの方と一緒に内容をじっくりヒアリングして「ガスの空間分布を可視化して計測が可能」という表現にリライトしました。

また、特長は3つに絞ったり、「技術者が試してみたいアイデア」というコーナーを設けるなど、いくつかの視点から掘り下げることで、新たなアイデアを連想しやすいように工夫しています。

大変だったのは、グループ内の様々なところに散らばっている化学素材の情報をひとつに集約することでした。
化学素材を開発する部門と、その化学素材を使った商品を扱う部門が分かれていたりと、改めてパナソニックの事業領域の広さを実感しました…!

お話を伺った技術者の皆さんには、お忙しい中、多大なご協力をいただき、とても感謝しています。
私にとっても、技術者の皆さんの意図するところを理解しながら資料にまとめていったことは、チャレンジングで貴重な経験でした!

また、多くの人に興味を持ってもらうために、表紙のメインビジュアルは
チームみんなで総力をあげて検討したそう。

化学素材が、完全に食べものに見えてしまうと、クリエイティブとしての引っ掛かりがなくなってしまうため、「良い違和感」が出るバランスを探しました。撮影に参加するのが初めてのメンバーもいる中、試行錯誤。最終的には、カメラマンさんの力で、「化学素材を食べ物に見立てたビジュアル」が、想像以上に魅力的になったようです!

メインビジュアル
(1段目左から)ストレッチャブルフィルム、グラファイト[Curo]、ガスセンシング材料
(2段目左から)セルロースファイバー樹脂、人造大理石、蛍光体

入社3か月の新米でも「いちクリエイター」。良いものはちゃんと採用される

「マテリアル・マルシェ」のチームは、前述のとおり若手社員が中心。
入社して日が浅く、お互いのことをまだよく知らない中で仕事をするのは、少し緊張した…という声も。でも、制作を進める中で、自然と打ち解けていったそう。
会議室の壁の一面に検討アイデアをずらりと貼って、「このアイデアが良いんじゃない?」「いやいやこっちも可能性あるよ!」などと忌憚なくディスカッションを繰り広げたり、先輩社員がやると思っていたプレゼンテーションを突然振られて焦ったり、厳しくも貴重な経験が積めたようです。

入社して初めての提案が採用された喜び、プレゼンにはどぎまぎ(笑)
種村さん/入社2年目(デザイナー、ネーミング&ロゴ開発を担当 )

美大出身の私にとって、最初は「化学素材」は全く馴染みがなく、頭の中は「?」でいっぱいでした(笑)
でも、入社当時から、異なる専門領域をもった多彩な方、特に技術者の方と共創したいという想いがあり、面白い化学反応が起きるんじゃないか、とワクワクもしていたんです。

私が担当したのは、展示会のネーミングと、ロゴデザインです。

「化学素材を食べ物に例える」というアイデアは決まっていたので、作り手の顔が見えたり、交流が生まれる場所である「マルシェ」というコンセプトと、「マテリアル・マルシェ」というネーミングを提案しました。
先方との打合せで、プレゼンは先輩が行うのかな、と思っていたら、打ち合わせ当日に突然、話を振られて。入社後初のプレゼンテーションにどぎまぎしました(笑)ですが、技術者の方に、笑顔で「いいね!」と受け入れていただいて。これが、入社後、自分で提案して初めて実現したクリエイティブになりました!

ロゴデザインでは、他社事例をリサーチしながら、コンセプト、デザイン案の企画やラフの制作を行いました。

「クリエイティブの役目は、自分ゴト化してもらうフックを作ること」という先輩からのアドバイスが、 今でも企画を考える上での指針になっています。
多くの人に身近なモチーフやテーマと組み合わせて、新しい魅力を生み出すように工夫することで、多くの人を振り向かせることができると考えています。

マテリアル・マルシェロゴ
マルシェのテントに見立てたクローシュから、開発者とっておきの化学素材が登場するワクワク感を表現。色彩は、化学素材と人の出会いを繋げる赤い糸を連想させるオリジナルカラーの「マテマルージュ」をあしらいました。

テクノロジー×クリエイティブで、未知なるレシピを求めて

アーカイブ展からはじまった「マテリアル・マルシェ」ですが、化学素材の活用アイデアを社内の若手で創出する「マテマルワークショップ」や、化学素材とのふれあいキット「マテマルBOX」など、たくさんの取り組みに展開し、 _and Materialコンソーシアムの内外で広がり続けています。

(左)マテマルBOX(右)マテマルWS

これらはクリエイティブからの自主提案をきっかけに実現した企画。_and Materialに参加する技術者の方々は、クリエイティブに興味津々。今の_and Materialに必要な施策であれば、好意的に捉えてくれることが、クリエイティブ人材の大きなモチベーションになっています。
テクノロジー人材にとっても、クリエイティブ制作のプロセスから、開発中の化学素材の魅力や可能性を発見できるため、Win-Winの関係のよう。

最後に、クリエイティブ人材の3人に「これから化学素材でやってみたいことは?」と尋ねると、「マルシェをレストランに進化させて、リアル展示会をやりたい!」「化学素材を、いま求められている社会課題に絡めて伝えたい!」など、たくさんのアイデアがこぼれるみなさん。化学素材に発想欲をかきたてられているようです。

化学素材の開発プロセスでは、「テクノロジー」と「クリエイティブ」はほとんど交わることがありません。でも、異なる分野の専門家同士だからこそ、コラボレーションした時に面白い化学反応が生まれるのかもしれません。

マテリアル(化学素材)を起点に未来の暮らしをソウゾウする「_and Material」は、クリエイティブ人材が自由な発想でソウゾウ&活躍できるフィールド。
「ちょっと面白そう」「この化学素材も、クリエイティブの力をかりたい!」という方は、一緒に取り組んでみませんか?

▼お問い合わせはこちら!

and.material@gg.jp.panasonic.com

魅力を伝えたい・紹介したい化学素材を募集しています。
▼お問い合わせはこちら!

and.material@gg.jp.panasonic.com

次回も、テクノロジー×クリエイティブで化学素材の魅力を伝える取り組みをご紹介します。どうぞお楽しみに!