パナソニック_ソウゾウノート
_and Materialってなんだろう?パナソニックが実践! ~「マテリアルと」つくるくらしの未来へのアプローチ ~
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_and Materialってなんだろう?パナソニックが実践! ~「マテリアルと」つくるくらしの未来へのアプローチ ~

パナソニック_ソウゾウノート

 マテリアルを起点に新たな価値創造を目指す「_and Material(アンドマテリアル)」。パナソニック内に蓄積する材料やそれにまつわる技術に関する全社横断の本コンソーシアムは、「もっと材料でできることがあるのではないか?」と感じていたパナソニック社員中西さんと、材料起点のイノベーションを支援する「MTRL(マテリアル)」の小原さんを中心に、2019年に設立されました。現在、パナソニックグループに籍を置くあらゆる人材が部門の枠を超えてチームを組み、それぞれの職能を活かしながら、豊かなくらしに「お役立ち」することを目指して活動しています。
今回は、プロジェクトの中心人物である2人の対話を軸に、「_and Material」を設立した想いや、活動の狙いを探っていきます。

中西 多公歳(なかにし・ただとし) 
パナソニックインダストリー株式会社 電子材料事業部 企画センター 所長付き主幹
中間機能材料専業メーカーにおいて、新素材開発、新事業企画、海外営業などの職務を経験。2017年、パナソニックにキャリアチェンジ。パナソニックの化学材料(マテリアル)を起点に、新たな社会貢献の基盤づくりを目指す。
 
小原 和也(弁慶)(おはら・かずや)
株式会社ロフトワーク/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任研究員
「ひと・もの・こと」すべての創造性の創発を支援するクリエイティブカンパニー株式会社ロフトワークにおいて、材料事業・製造業を中心に、材料起点のイノベーション「マテリアル・ドリブン・イノベーション」の創発を掲げる「MTRL(マテリアル)」を主宰。数多くのプロジェクトデザイン、事業開発を推進。あだ名は弁慶。

左:株式会社ロフトワーク   MTRL事業責任者兼プロデューサー 小原(弁慶)さん
右:パナソニックインダストリー株式会社 中西さん

「_and Materialコンソーシアム」 それは、一つの出会いから始まった

中西: 弁慶(小原)さんとは、3年前、まさにこの場所(FabCafe Tokyo /東京・渋谷)で出会いました。別の場所で打ち合わせをする予定だったのですが、そこが急きょ使えなくなって、代わりの会議スペースとして、ここに連れられて来たんです。そろそろ打ち合わせを終わろうかなという時に弁慶さんがふらっと現れて、名刺交換をさせてもらいました。その頃の僕は、パナソニックが持っている材料やそれにまつわる技術のポテンシャルにすごく期待を持っていて、これをもっと外に出して価値に繋げる活動を始めたいと思っていた時でした。ですので、すごくいいタイミングでお会いできたなぁと。

弁慶: ありがとうございます。中西さんと対話を深めさせていただく中で大きな驚きだったのが、パナソニックには材料やそれにまつわる技術が豊富に存在しているということでした。そのモノ自体に何か少し違った観点からアプローチしてみる――たとえばこれまでに無い使いみちを発想する、暮らしに「なぜ必要か」を問うてみる、などです。そうやってモノ自身の「新しい価値創造」を目指すのであれば、我々としてもお手伝いできることがあるんじゃないかと思って、いろんな観点から議論を深めさせていただき、徐々に「_and Material」が形になりましたね。

パナソニックが持つ「デザイン×テクノロジー _and Material」のポテンシャル

弁慶: 「_and Material」という活動は、材料ありきでいろんな人たちを巻き込みながら、材料を起点にした新たな価値を考えていくというところから始まりました。その中で、中西さんが立ち上げ初期の段階から社内のデザインチームに対して材料技術者、事業開発者の立場からどんどん声がけをしていこう、巻き込んでいこうと動かれていたのがとても印象的でした。

中西: パナソニック社内における材料というモノの立ち位置は、たとえばIT機器や家電製品に比べると価値が高いとは言い難い状況にあるかもしれません。ただ、パナソニック製品の一つひとつが「なぜお客さまに愛されたのか?」というところを紐解いていくと、パナソニック、あるいはパナソニックとパートナー企業が生み出した「マテリアル」が、機能や価値を発現しているというケースがたくさんあって。そういったことを発掘もしながら、まずはみなさんにその存在を知ってもらって、その中でさらなる新しい価値をもたらして広げていく。その循環を生み出すことにチャレンジしたかったんです。

弁慶: まずはパナソニックには世界に誇る材料技術や、それを操る職能が多くいらっしゃる、ということを知ってもらうことから、でしたね。

中西: はい。それともう一つ、やらなければいけないと思っていたのが、デザインというクリエイティビティの観点と、マテリアルというテクノロジーの融合。これを効率的に行うと、最終的にもたらされる付加価値が最大化するという確信があったんです。というのも、パナソニックの社内には充実したインハウスデザインの組織があり、ブランディングのプロフェッショナルがいる。そして、私も含めた材料のプロフェッショナルもいる。それが一つの傘下にいる環境というのは、グローバルで見てもかなり希少な存在だと思ったんです。

弁慶: ここはまさに、中西さんとの対話の中で私たちも気づかせていただいた部分が多くあるのですが、サイエンティスト、エンジニアじゃないと材料に関われないかというとそうではない。むしろ、そうではない職能からこそ積極的に材料開発の現場に向けてー暮らしにより必要とされる観点や仮説-なぜその材料が私たちのくらしに必要なのか、という視点をぶつけていくと、それを具体化できる材料技術者がいて、そのコラボレーションこそが重要なんだと気付かされました。

マテリアルで繋がるチカラ、生み出すミライ

中西: ご一緒させていただいたこの期間で、弁慶さんにとっていちばん驚きだったことや印象に残っていることは何ですか?

弁慶: 事業規模の大きな企業に所属していると、自分のやりたいテーマや扱いたい商材や職務と与えられたミッションがなかなかマッチしないジレンマがあるとよく聞きます。ですが、「_and Material」の企画などを通して出会う材料技術者のみなさん誰もが、ご自身が担当している材料にすごく愛着や誇りを持たれている、それがすごく印象的でした。ただ一方で、それをくらしの中にどのように応用するかとか、この製品、サービスのために材料を作り込んでいこうという事になかなか繋がらないという課題があることもお聞きしました。ですから、先ほど中西さんがおっしゃっていたように、いろいろなスキルを持った方が同じ社内にいらっしゃるからこそ、あとはそれを繋ぐことから始めるべきなのではないかなって。

中西: そうですね。そのためにも、「繋がる」「繋がっていこう」という想いをみんなが持てるような仕掛けづくりを「_and Material」の活動の中で、力強くやっていきたいと思っています。自分の仕事を愛して、誇りを持って働いている人たちに、光を当てていく。そういうことの積み上げが、新しいモノや価値を生み出す原動力になると思うので。

弁慶: この3年、種をまくようにたくさんの活動をご一緒してきましたが、その中でも一番印象に残っていることは何ですか?

中西: 電子材料事業部がやっている、ストレッチャブルフィルムという材料を題材にしたプロジェクトですね。これは、びよんびよん伸びるような柔らかさのある樹脂で、再現性が高く、フィルム上に回路を描くこともできるんです。我々はそれを基板用の材料、いわゆる電子基板の材料として世に出そうと取り組んでいまして、このストレッチャブルフィルムをテーマにしたワークショップは今でも特に印象に残っています。

ストレッチャブルフィルムを題材にしたワークショップの様子

弁慶: FabCafe Kyotoで開いたワークショップですね。

中西: はい。ワークショップの中で、材料技術者側が「この材料はこういうものです」という情報を発信すると、クリエイティブの人たちがそれを受け取って、一緒になって具体的な未来の像を描いていく、そんな議論の中で「ストレッチャブルフィルムでつくった風船をそのまま電子回路にする」というアイデアが出たんです。

さすがにそれはできないだろうなと私は思っていたのですが、その一週間後ぐらいに、うちの技術者がストレッチャブルフィルムで風船を試作した上で、「これ、ここに回路を書いたら、ふわふわ浮かぶ電球ができるんじゃない?」みたいなことを言っていて(笑)。

材料技術者がテクノロジーに対して考え尽くしたと思っている状況からでも、クリエイティブの人たちはそこを破壊して、新しいビジョンのきっかけを見せてくれる。そして、そのアイデアに対して技術者は応える術を持っている。ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの人たちがバランスよく混ざって、何か特定の材料や現象に対して、語り合って未来を描く。その後の「_and Material」の原型になる原体験がそこにあったかなぁと思うんです。

手触りをもって、マテリアルが持つ“意味”と向き合う実践の場

中西:「_and Material」の黎明期からご存じの弁慶さんは、これまでの活動の中で印象に残っていることは何ですか?

弁慶: 社内の人を巻き込みながら社内に閉じるのではなく、自分たち自身もフィールドに飛び出して行こうと企画したプロジェクトです。材料と技術と職業が密接に紐づき、そこに豊かな暮らしが生まれている地域を訪れました。

中西: みなさんとの交流の中で新しい発見や気付きをどんどん紡ぎ出して行ったり、疑問に思ったことがどんどん発露されていったり。とても素晴らしい場だったと思います。

弁慶: 具体的なフィールドとしては「広葉樹のまちづくり」に取り組まれている、岐阜県飛騨市に訪れました。プロジェクトメンバーみなさんと一緒に森を歩いて、木の製材の現場を見て、それを家具に加工する職人がいて、それを売るショールームまで…ということが、飛騨の地域で小さく循環している。その様子をパナソニックのみなさんがすごくキラキラした目でご覧になっていて、こんなにピュアな目をされるんだと驚きましたし、私たちもすごく嬉しくなりました。この訪問をきっかけに、飛騨市を舞台にパナソニックの材料や技術を活用した共同企画がいくつも生まれてくるようになりましたね。

中西: 「_and Material」は、パナソニックグループの中でいくつかの組織にまたがって活動しているため、継続していく難しさがあるのですが、きちんと仮説と信念を持ってやれば、いろんなことが動き、いろんなことが盛り上がってくるというのが体感できた企画です。この企画のように、外に出て、普段出会うことのないみなさんと関わりながら、自分を見つめ直したり、自分が取り組む材料技術やパナソニックでのミッションとつながり、新しい価値を生み出す兆しをどんどん発露できるような場は、継続的に設けていきたいです。

「_and Material」プロジェクトで飛騨地域に訪れた時の様子。

異業種の人たちとも一緒に、材料の新しい意味からより豊かなくらしを描く

弁慶: 我々MTRLは、材料を起点にこれからの私たちの未来がどうありたいかを、幅広いイシュー、ミッションから共創し、いろいろな企業の方と具体的なプロジェクトの実践を通して考えています。
「_and Material」の実践では、材料や技術の新たな可能性を探求していく中で、その材料や技術を持たれている方々が無意識的に制約してしまっている可能性をひらいていきたいと思っています。たとえば、衰退するろうそく産業がアロマキャンドルとして生まれ変わり、世の中により広く需要されたように、材料に「新しい意味」を与えられるように試行錯誤していくことができれば、私たちの未来は暗いか明るいか、おのずと結果が出てくるのではないでしょうか。

中西: 材料というものは、やはり環境に対する影響とどうしても切っても切れない関係にあります。扱い方を間違えてしまうと、環境に対して不可逆なダメージを与えてしまうものでもある。けれど、適切に、効果的に使えば、サスティナブルであると同時に、より便利で、より豊かなくらしの実現にも繋げられる。それがマテリアルの持つ底力だと思っています。
これからは、今は異業種と思われているような、テクノロジーの人たちとクリエイティブの人たち、ビジネスを考える人たちが、最初から長期的な目線で価値づくりをする。そういう環境が、日本中や世界中に広がっていくことを願っています。

今はまだパナソニックという小さな一つの組織でしかありませんが、「_and Material」の活動の中で小さな事例を一個でも二個でもつくり上げて、それを発信していくことで、社会全体で未来のくらしを考えられるようになれば。そういったことに期待しながら、今後もマテリアルに向き合っていこうと思っています。 


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