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子どもの秘められた可能性はどうやって引き出す? 「ソウゾウの実験室」イベントで私たちが目指すこと

こんにちは!ソウゾウノート編集部です。
2024年8月4日(日)、夏休み真っ最中の大阪科学技術館にて、第4回「ソウゾウの実験室」が開催されました。「ソウゾウの実験室」は、2025年大阪・関西万博に向けて子どもたちと未来をソウゾウするイベント。会場には、小学4~6年生を中心に、約30名の子どもたちが集まってくれました。

今回のテーマは「キミのアイデア×AIで『マテモン』を変身させよう」。「マテモン」とは、「マテリアル」、つまり素材から生まれたキャラクターで、誰かの役に立ち、「幸せエネルギー」を集めようと頑張っています。
今回は、子どもたちの好きなことからアイデアを広げ、マテモンをどんな姿に変身させれば幸せが生まれるのかをソウゾウしました。

この記事では、イベントのレポートのほか、今回のイベントの企画・制作や、万博の推進に関わるメンバーにインタビュー。企業や大人たちが子どもの成長に関わる意味についてお話を聞きました。


「マテモン」変身させて、幸せエネルギーを集めよう!

まずは、パナソニックグループについてや大阪・関西万博のパビリオンのテーマなどを紹介しました。
次に、マテモンを研究して15年、素材のスペシャリストであるマテモン博士が登場!6種類のマテモンについて、素材の特徴や、得意なことを説明しました。髪の毛の2分の1の細さでありながら、1本で350mlのペットボトルを吊り下げられる「タングステン極細線」や、塗るだけで様々なものを発電させられる「ペロプスカイト太陽電池」など、個性豊かなマテモンたち。子どもたちは実物を手に取り、興味深く観察していました。

さて、今回のお題は、そんなマテモンたちを何に変身させたら幸せのエネルギーを集められるか。6つのチームに分かれた子どもたちは、それぞれのチームに与えられたマテモンが、自分たちのくらしにどう役立つかを考えます。
 
初めに、チームごとにカードを1枚ずつ引きます。カードには、「相手から考える(家族・友達)」「自分の好きなもの」「課題解決」など、思考のきっかけになる言葉が書かれており、そこから自分の発想を広げていきます。初めて出会ったメンバーを前に発言をためらっていた子どもたちも、「僕はサッカーが好き」「広くてのびのびできるところに行くのが好き」と、それぞれの想いを自由に伝え合います。そして、チームのマテモンに合った役割や、名前などを話し合いました。

次に、集まったアイデアをAI画像生成ソフトでビジュアル化。自分たちのアイデアがイラストになって現れると、目を輝かせる子どもたち!さっきまで恥ずかしがっていたのが嘘のように、「背景は?」「こんなものを持たせたらいいんじゃない?」と、大盛り上がりで作品作りに熱中していました。
 
最後は、できあがったマテモンのイラストとともに、アイデアを発表。勉強やスポーツを助けてくれるマテモンや、困っている人の役に立つマテモンなど、各チームの個性が光る発表に、親御さんやパナソニックのスタッフからあたたかい拍手が湧き起こりました。

子どもたちがつくったマテモン
上段左から:やる木箱、エラシューズ、スタープリズム、電球マン
下段左から:ペレプスポタエネライト、人造台所人


本イベントを企画したパナソニックの種村さん、株式会社Mimmyの守屋さん、万博の推進メンバーである原口さんに、イベントの感想や子どもたちへの想いを聞きました。

子どもたちの「好き」を追求し続けられる未来に

(写真左)原口 雄一郎(パナソニック ホールディングス株式会社 2025年大阪・関西万博推進委員会 ) 2025年大阪・関西万博において、パナソニックグループパビリオン「ノモの国」の総合プロデューサーを務める。
(写真中央)種村 すぎ菜(パナソニック株式会社 デザイン本部 )  本イベントのコンセプトやマテモンのコンテンツ企画制作を担当。普段は広告宣伝の部署でテレビCMや新聞広告の企画を行っている。
(写真右)守屋 亮(株式会社Mimmy代表)オンラインやテクノロジーの力で、子どもたちの世界を地球規模に広げ、成長を後押しする事業を行っている。本イベントでは、コンテンツ制作をサポート。

――マテモンをテーマにした2回目のイベントでしたが、終えてみていかがでしたか?
 種村 :今回も楽しいイベントになりました。前回は自分の好きなことから自由に発想するスタイルでしたが、今回はカードを使い、自分にはない発想からテーマを考えるしくみに変えました。結果、前回とは違った切り口が出てきて面白かったですね。
 
守屋 :子どもたちが主役のイベントですので、本当にうまくいくか、生成AIを使いこなせるだろうか、と色々考えていましたが心配は不要でした。子どもたちの自由な発想力や、ゲーム感覚で進めていく力が圧倒的で、単純に感動しました。
 
原口 :万博では、「解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。」をテーマに、子どもたち一人ひとりの可能性をアンロックしていくことを目指しています。今回のイベントも、一人ひとり違う感性を活かしながら取り組んでもらえる機会になったと思います。

――種村さんと守屋さんにお聞きします。今回のコンテンツをつくる上で、ソウゾウしたのはどんなことでしょうか。

 種村 :このイベントが、子どもたちのソウゾウ力を発揮するきっかけになればと思っていました。私は入社してから化学素材を使って社内を盛り立てていく_and Material - テクノロジー - パナソニック ホールディングス (holdings.panasonic)というコンソーシアムに入っているのですが、それまではパナソニックが素材をつくっていることを知りませんでした。初めて知ったときは「すごい!色々なことができそう!」と私自身、ソウゾウ力がとても刺激されて。同じように、素材という未知のものとの出会いを通して、子どもたちにもソウゾウ力の刺激を与えられたらと思っています。

 守屋 :私が意識していたことは2つあります。1つ目は子どもたちに働いている大人を見て欲しいということ。例えば、マテモン博士の松野さんは、素材の研究を15年も続けてきた、と紹介しましたが、子どもたちがそういった大人をカッコいいと思ってくれたらいいなと思っていました。

2つ目は、用意しすぎないこと。我々が準備万端にせず、すき間があった方が子どもたちがソウゾウ力を発揮しながら新しいものをつくれるのではないかと考えていたからです。だからこそ本番への不安があったわけですが、最終的に子どもたちが我々のソウゾウを超えるものをつくってくれましたね。

子どもたちの自由な体験機会を社会全体でつくっていく

――そんな想いがあったのですね! 皆さんはこのイベントのように、親や学校だけではなく、企業などの大人が子どもの成長に関わることについてどのように考えていますか?

原口 :今、非認知能力の大切さが叫ばれていますが、自然の中をかけ回る経験や地域との関わりが減っている現代では、子どもたちの画一的ではない能力を見つけるのは難しい面があります。
あらゆる企業が、問題解決に取り組む中で得られた切り口を子どもたちに共有することで、ワクワクすることや興味を持てるものを見つけるきっかけにしてもらいたいですね。
 
守屋 :そうですね。子どもたちには色々な体験や経験をして欲しいと思いますが、今は共働きの家庭が多いですし、学校の先生も本当に忙しいので、接点の近い大人だけで新しい体験をさせることが本当に難しいんです。だからこそ、社会全体で子どもを支えていくことが大切ですし、パナソニックさんのような会社が休日を使ってこのような機会をつくっているのは素晴らしいと思います。
 
種村 :環境を整えてあげられたらもちろんすばらしいですが、「こういうものに触れてみたらどう?」と、きっかけを与えてあげるだけでも良いと思います。
そこから先の部分は子どもに任せて、「あとは自由にやってみてね」という距離感も大事かなと。
 
守屋 :「自由に」というのはポイントですね。私は子育てをしていますが、親はどうしても周りに迷惑をかけないように、とブレーキをかけてしまうことがあります。今回のように、好きなことをどんどん言おうよ、という体験は意識して用意していきたいですよね。

――ちなみに、皆さんはどんな子ども時代を過ごしていたのでしょうか?

原口 :小学校の頃を思い返すと、学校の休み時間を思い出します。ボール遊びでもドロケイでも、自分たちでルールをつくりながら、新しい遊びが日々生まれていました。学校の裏山に資材を持ち込んで秘密基地をつくった記憶もあり、今思えばクリエイティブだったなと思いますね。
 
守屋 :私は小学校3~4年生の頃が印象に残っています。担任の先生がとにかく自由な方で、学校のカリキュラムを無視することもあるくらい(笑)。
授業の時間が余ったときは、次の単元に進まずに「今から何をする?」と子どもたちに選択肢を与えてくれます。ダンスをする? けん玉大会をしようか!と、子どもたちが意見を出し合って過ごし方を決めていました。宿題も、計算や漢字練習だけでなく、詩をつくったり、絵を描いたりと、色んなきっかけを与えてくれましたね。
当時の私は「自分が好きなことや、やりたいことをやってもいいんだ」という気づきをもらい、それは今の仕事にもつながっています。

種村 :私は6年生のときの自由研究を思い出します。ゴッホという画家の「ひまわり」という絵にハマっていた私は、自分もひまわりをたくさん描いて研究をしたんです。それをクラスで発表したとき、みんなに興味を持ってもらったことがすごく嬉しくて。小学校の頃は、勉強やスポーツができる子は個性を出しやすいのですが、私はそうではありませんでした。でも、自由研究という場でやっと自分のことをみんなに紹介できた感じがして、とても嬉しい思い出でした。

自分の「好き」を見つけてほしい

――皆さん豊かな経験をされてこられたのですね。子どもの頃の体験が、まさに今の皆さんのお仕事に繋がっている印象です。最後に、子どもたちに伝えたいことをお聞かせください。

守屋 :子どもたちにはとにかく、自分の好きなものを見つけてほしいです。色んなことを経験して、「これが好き!」というものを仕事にしてもいいし、趣味で極めてもいい。
子育てをしていると、習い事でも勉強でも、知らず知らずのうちに親の考えを子どもに押し付けてしまうことがありますが、親や先生に言われたからやるのではなく、「自分がこれをしたいのだ!」ということを見つけてほしいですね。
 
原口 :本当にその通りで、大人は自分の反省を子どもに押し付けてしまいがちです。
子どもたちには、何歳になっても「自分が好きなこと」や「これをやっているとき自分は輝ける」というものを追求して欲しいですし、探すことを諦めなくて良い世の中にしていきたいです。
 
種村 :私もおふたりと同じことを考えていました。「自分はこれをしていると心が動くな」、「気持ちがいいな」という気持ちに素直になってほしいです。
また、子どもである「今」も大切にしてもらいたいですね。子どもたちは、受験勉強をしたり、将来のために準備したりということがあると思いますが、一方で子ども時代は今しかない、ということも忘れてほしくなくて。これは全ての年代の方にも言えることですが、今の楽しさの積み重ねが未来になっていくので、今の自分の楽しさや気持ちよさも見つめてほしいなと思います。

【関連サイト】
マテモンデータブック
matemon_databook_v.1.1 (holdings.panasonic)
▼パナソニックグループ公式万博サイト

https://holdings.panasonic/jp/corporate/expo2025.html
パナソニックグループ万博パビリオン「ノモの国」特設サイト
https://the-land-of-nomo.panasonic/
「_and Mateiral」公式サイト
_and Material - テクノロジー - パナソニック ホールディングス (holdings.panasonic)
 ▼【大阪・関西万博共創イベント】ソウゾウの実験室vol.4 「キミのアイデア×AIで『マテモン』を変身させよう」
https://channel.panasonic.com/jp/contents/41743/