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IoTに欠かせない組み込み技術で、会社へ社会へ貢献したい。

「東日本大震災で広いエリアに起きた停電。それが大学で電気工学を専攻したきっかけでした」。自然の脅威が引き起こした停電の被害は、約800万世帯(厚生労働省HPより)。受験勉強に取り組んでいた関直人は、未曾有の被害に衝撃を受け、電気などライフラインが寸断された生活が続く被災地の様子を報道で見聞きし、心を痛めていた。

「電源のシステムってこんなに脆いものなのか?揺るぎないしくみができないだろうか...」。まだ物心つかない頃、関は神戸で阪神淡路大震災に被災している。家は半壊。両親から日常生活を取り戻すまでの苦労を伝え聞いていた。だからこそ、現代生活を支える電気やエネルギーのことを学び、社会に役立つことがしたかった。

大学で電気工学の基礎科目を学び、専門領域を決める頃、進路を左右する出来事が起きた。祖母が大病を患い手術、そして手足の動きを取り戻すためのリハビリ。その辛さを目の当たりにした。「もっと患者に負担をかけないリハビリができないものか」。関は研究する領域を決めた。脳波で機械を動かす「BMI=ブレイン・マシン・インターフェース」という技術を用いた、脳卒中患者向けリハビリテーションの研究開発だ。

BMIとは脳波をパソコンで処理し、その人が考えていることや見ているものを検知して他の機械を動かす技術。これを応用して、脳にダメージを負い手足がうまく動かせない患者さんに「手を動かす」イメージをさせ、筋肉を動かすしくみを施した専用グローブを通して手を握らせる。患者さんの負担を軽く、そして繰り返すことで効果的にリハビリする研究だ。患者さんと接しながら研究し、最終的に療法士だけで運用できるシステムを開発することができた。

研究は、大学院に進んでからも継続していた。そんな時、自身の研究内容に近いインターンがパナソニックにあると知り参加。当時、パナソニックの先端研究本部で行われていた歩行を補助する器具の研究だ。筋肉を動かす時に発生する電気「筋電」を使って歩く周期を予測し、いちばん負担が大きくなるタイミングでアシストできるようにするもの。職場の雰囲気が温かく、働く姿勢に尊敬もでき、研究もとても興味深かった。わずか2週間だったが、「パナソニックで働きたい」そう思わせるには充分だった。

入社後、関は現在も所属するメカトロニクス事業部に配属され、以来、マイクロコンピュータで制御する、いわば組み込み機器のシステム・ソフトウェア開発を担当。主に「DC/DCコンバータ」と呼ばれる、車載向けの電圧変換器の開発に携わっている。「少し回り道したけれど、電気工学を志したきっかけになった『電源』に関わる仕事だ」。開発製品が設計通りに動作するか検査するのがミッション。人命を預かる車載品質を保証するため試験項目は1,000件以上。膨大な時間がかかるのが課題だった。

そこで関は、試験の自動化にチャレンジ。さまざまな設計書を読み込み、それぞれの技術を持つ先輩に相談し、短時間の信号変化でも確認できる自動試験環境を立ち上げた。「はじめてひとりで任された、感慨深い仕事です」。

関はチャレンジを続ける。顧客とダイレクトに対応する業務を希望し、上司に相談。開発製品の規模が大きく、担当業務では直接顧客交渉の機会がなかったのだ。想いが叶いソフトウェアプロジェクトマネージャーとして、データセンター向けDC/DCコンバータの案件も担当することになった。

現在は依頼先の担当者と直接やりとりしながら要求を引き出し、システム設計を推進。ソフトウェア開発の外部委託先の管理業務も任されている。「どんどんチャレンジさせてくれる。それがまた、やる気を起こさせてくれる」。もちろん周りのサポートも心強い。「一を聞いたら十を教えてくれる。もし失敗しても上司がいるんだから、とまで言ってくれる」。

チャレンジ精神を駆り立てる理由はそれだけではない。さまざまな研修が用意され、車載やセキュリティ関連、英会話など、職種に関わらず興味あるものを受けられる。成長の機会は限りない。「ものをつくる前に人をつくる」...創業者の想いを肌で感じるという関。ますます重要になるIoT化へ、組み込み技術を極めてさまざまな機器を量産開発し、会社貢献へ、社会貢献へ、それが次にめざすチャレンジだ。

<プロフィール>

関 直人(せき なおと)
設計開発
パナソニック インダストリー株式会社

2018年入社 電気電子情報工学科卒
人とコミュニケーションすることが大好き。
直接でも、メールでも、チャットでも。自分からどんどん話しかける。
話すほどに知識が身につくし、すごく刺激にもなる。

◆パナソニック採用HP
https://recruit.jpn.panasonic.com/

*記事の内容は取材当時(2021年10月)のものです。