子育てママのロールモデルになって、まわりに恩返ししたい。
就活中の木村真美は、これと言って就きたい業種や職種はなかった。こだわったのは、仕事の内容ではなく、「一緒に働く人」だった。「人」を見るために、さまざまな企業を訪れた。そして、パナソニックと出会った。自社のポジティブな面だけをアピールする企業が多いなか、パナソニックの先輩社員は、ポジティブな面と同時にネガティブな面も正直に話してくれた。入社するかどうかも分からない就活生に、包み隠さず話してくれたところが、彼女の心を捉えた。「やっと、一緒に働きたいと思える人たちにめぐり合えた」と、彼女は思った。
入社後に配属されたのは、住宅関連の営業部門。学生時代に法律を専攻した彼女は、建築については一切触れたことがなく、未知の世界だった。それでも、「与えられた場所で頑張ろう」と思っていた彼女に、不安はなかった。この部署は、キッチンや、バス、トイレなどの水回り商品、床材や建具などの建材、さらにはIHや太陽光発電パネルなど電化系の商品を扱い、代理店を通して建築会社、設計事務所、施工会社などへの営業を行っている。ここで、彼女の営業担当者としてのキャリアがスタートした。
まだひよっこの彼女が、代理店に営業をしながら、商品のこと、現場のこと、業界のことを一から学んでいった。時には建築現場に出て、大工さんに教えを請うことも。当然、未熟さから悔しい思いも味わった。「お客さまがコストのことで、すごく悩んでいた時に、相談相手として見てもらえなかったんです。『まだ若いし、言ってもダメだと思うから、まあ言わないでおいたわ、ごめんね』と、後で言われた時は、本当に自分が情けなくなりました」。「私がもっとしっかりしていたら、一緒に頑張れたのに...」。その悔しさから、彼女は仕事に没頭した。そして、住建の仕事の知識とノウハウを、乾いたスポンジのように吸収していった。
その後、結婚と出産を経験。育児休暇が明け、現在は営業企画部門に所属。この部署は、営業部の方針を決めたり、キャンペーンを打ち出したり、営業部の司令塔として営業活動が円滑に行えるようさまざまな施策を行っている。
彼女は、ここで代理店向けの販売コンテストの企画、新商品内覧会の企画・運営、さらにはショウルームの運営、重点商材の戦略づくりなど、多種多様な業務に携わっている。この仕事の魅力を尋ねると、「自分の営業経験が活かせることです」と、すぐに返ってきた。営業時代の彼女は、営業企画から降りてくる施策と現場のニーズのギャップに戸惑い、施策をうまく活用できずに不満を抱えていたという。そんな経験から、現場起点で企画を発想することを心掛けている。営業の気持ちが分かる彼女から生まれる企画だからこそ、自信をもって提案でき、説得力も生まれる。「『情報発信、いつも分かりやすいです。ありがとう』と声をかけていただいた時は、嬉しかったですね」と目を細めた。
彼女は、今、保育園に通う娘のために、時短勤務をしている。「正直、妊娠した時は、仕事を続けられる自信が持てず、とても悩みました。でも、『復帰後に精一杯恩返ししよう!』と心に決めて産休に入りました。パナソニックは会社の支援制度が十分に整っていますし、一緒に働く上司や仲間のサポートを得ながら、安心して仕事を続けることができています。今はまだ恩返しの途中ですが、これから入社される人たちが、これからの私の仕事や歩んでいく姿を見て、『あ、私もこういうキャリア踏んでみたいな』とか、目指してくれるようになったら、嬉しいですね。それも恩返しのひとつになるかなと思っています」。
パナソニックに入社して9年。ひたすら住建の道を歩んできた彼女に、これからの目標を聞いてみた。「今年から、営業部門として小型エレベーターのリニューアル市場の開拓を目指しているのですが、その折衝や企画の仕事を期待されています。私としては全く新しいチャレンジになりますが、自分の介在価値をアピールできるチャンスと思い、ぜひ成功させて、子育てママの底力を証明したいと思います。それができたら、本当の意味での恩返しになるかな」と言って微笑んだ。
働く会社を、仕事ではなく「人」で選んだ彼女。今は上司や、まわりの人に支えられて、子育てをしながら仕事を続けられることに幸せを感じている。そして、そんな環境に感謝するとともに、自分の選択が間違っていなかったことを実感している。
<プロフィール>
*記事の内容は取材当時(2021年10月)のものです。