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パナソニックの二次電池工場を、世界最先端のスマートファクトリーにしたい。

地球温暖化の問題を知ったのは、小学校高学年の頃だった。自分の住んでいるこの地球の未来が危険にさらされている、という事実にショックを受けた。食い止めるには、エネルギーのつくり方や使われ方を変える必要があることを学び、自分もそこに関わりたいと思った。中学に入ると、テレビで「高専ロボコン(全国高等専門学校ロボットコンテスト)」を見て、高専の存在を知った。周りには高専をめざす人はひとりもいなかったが、ここで学んでみたいと思った。中学で将来の進路を決めることにも迷いはなかった。高専では専攻科まで進み、電気電子工学を専攻。電池の充電器をつくるなど、パワーエレクトロニクス分野の研究に熱中した。高専時代に、さまざまな国の工場を視察したり、海外の学会に行ったりするうちに、グローバルで仕事がしたいという思いが膨らんでいった。

就職活動をしているなかで、米国テスラ社のEVにパナソニックの電池が使われていることを知る。ベンチャー企業のテスラ社と日本の大企業のパナソニックが手を組み事業をしていることに、可能性を感じた。パナソニックの面接では、地球温暖化防止に貢献できる「テスラエナジー事業部」で働きたいという思いを熱く語った。そして学生時代に学んだパワーエレクトロニクス技術と海外経験をアピールした。そのひた向きな思いは、パナソニックに伝わった。

配属されたのは、希望した「テスラエナジー事業部」だった。この事業部は、テスラ社に納める円筒型の二次電池を、大阪の住之江工場とアメリカ・ネバダ州のギガファクトリー(テスラ社と共同運営)内で生産している。彼は、住之江工場の生産技術部に所属。アメリカの工場と行ったり来たりしながら生産設備システムの開発や立ち上げ、改善などを行っている。生産現場では、製品の歩留まりや、稼働率、コストパフォーマンス、作業性などが求められる。そのため、少しでも生産性を高めるべく、生産設備を検査するための要素技術の開発にも力を注いでいる。この仕事の魅力を彼はこう語る。「生産ラインに設置するセンサの実験や検証をしていくなかで、最初はまったく動かなかったものが、トライ&エラーを繰り返すうちに目論んだ通りに目の前で動作したり、測定できた時は、やはり達成感がありますね。また、生産技術の取り組みの成果は、生産数や利益につながります。すなわち会社の業績に直結しているので、責任の重さを感じながらもやりがいがあります」。だが、思うように解決できない課題もあると言う。「アメリカ人と日本人の仕事に対する考え方の違いに戸惑うことがあります。日本人なら、黙っていても気付いてやってくれることが、現地の従業員の方だと言葉にしないと伝わりません。私の拙い英語力で、どうしたら現地の方に気持ち良く動いてもらえるか、こちらもトライ&エラーの日々ですね」。

地球温暖化防止には、エネルギーのつくり方を変えなければいけないことを学んだ少年が、高専に進んで電池の技術を学び、CO₂を排出しないEVの電池の生産技術を開発する仕事に就いた。これまでは、目標に向かって一直線の道のりだった。しかし、入社後しばらくして、進むべき道を見失っていた時があった。「生産技術者としての生き方を突き詰めると、電気制御のエキスパートになるか、メカの設計のエキスパートになるか、どちらかの道を進むことになります。でも自分は、どちらでもないなと思ったんです。どちらにも行けない自分が中途半端なようで、ずっとモヤモヤしていた時期がありましたね」。と正直に語ってくれた。そのモヤモヤを晴らしてくれたのは、上司のアドバイスだった。「『どちらかに決め付けなくてもいいんじゃないかな』と言われてハッとしました。『あ、そうか!道がなければ、自分で新しい道をつくればいいんだ』と気付いたんです。突然、目の前の霧が晴れたような気がして心が軽くなったのを覚えています」。

今、彼の描いているビジョンは、生産技術者の枠を超えて、工場全体を俯瞰できる総合的な開発眼を持つ技術者になること。「いつか、パナソニックの二次電池事業の工場を、世界の製造業のなかで最先端のスマートファクトリーにして、21世紀の産業革命を牽引したいですね。何年先になるか分かりませんが、夢は大きい方がいいでしょ」と彼は笑った。

<プロフィール>

牛澤 隼也(うしざわ しゅんや)
生産技術
US社
2018年入社 電気電子工学コース卒
ピアノ、習字、バスケ、スケボー...興味が湧くと何でもやりたくなる少年だった。ハマるとのめり込み、バスケは高専まで続け、部のキャプテンを務めた。現在はパパになり、休日に子どもと遊ぶ粘土やブロックは「パパの方がハマってるんじゃない?」と妻によく言われる。

◆パナソニック採用HP
https://recruit.jpn.panasonic.com/

*所属・内容等は取材当時のものです。

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