見出し画像

その「普通」って誰が決めた?自分らしい個“性”を考える ―YOUR NORMALプロジェクト― (前編:イベントレポート)

2021年3月7日。パナソニックのFUTURE LIFE FACTORY(以下FLF)による「じぶんらしい個“性”をはぐくむ」YOUR NORMALプロジェクトのリスナー参加型トークセッションが行われました。参加いただいたリスナーは70人。ファシリテーターとして編集者の柴田隆寛さん、ゲストに『NEUT Magazine』編集長の平山潤さんをお迎えし、リスナーと共に日々“モヤモヤ”とする違和感について話し合いました。

YOUR NORMALプロジェクトとは
FLFの白鳥真衣子さん、東江麻祐さんによる、幅広い性のあり方への理解と知識のアップデートに取り組むプロジェクト。これまで日本では、性に関する話題は触れにくいものでした。しかし、このプロジェクトでは健康や安全を含め、性と向き合うこと自体に意味があると考えます。性を考えることへの偏見や障壁を減らし、誰もが自分の選択に自信を持てる社会を実現するため、様々な角度から取り組みを行っています。

画像1

オンラインイベントのテーマは「このモヤモヤ、どうする?-じぶんらしい個“性”を考える-」。
初めにFLFの白鳥さんから、プロジェクトの概要とプロジェクトが考える個“性”についての紹介がありました。個“性”とは、生まれながらの性別や性自認など自分自身の問題だけでなく、友達やパートナーなど他者との関係性のあり方、さらに法律やメディアなど社会との関りについても含むのだそう。近年、性の多様性に関する意識は高まりつつありますが、世間やメディアなどによって作り上げられた「普通」という概念により、自分の選択や容姿を否定された経験は、多くの人にあるようです。リスナーの方々からも多くのモヤモヤが寄せられました。

画像6

容姿に関するモヤモヤでは「テレビ業界が容姿で笑いをとること」、「大きいサイズの服が売っておらず、あなたは規格外と言われているような気分」などのコメントがあがりました。ゲストの平山さんは「メディアが均一な容姿を取りあげることで、普通をつくり出している」という問題を指摘。また、海外では日本と違って様々なサイズの服が売られており、国や文化によっても「普通」の概念は変わるといった話がありました。

画像6

性に関する話がしづらいというテーマでは「性教育の授業で男子が笑っていたので恥ずかしいものだと感じた」「エロ本などの過激な性描写」といったモヤモヤがあがりました。日本の性教育は小学校高学年で行うことが多いものの、最近は恥ずかしいと感じる前の幼児期から学ぶ動きがあります。ファシリテーターの柴田さんもその必要性を感じているそう。しかし、自分の子どもに対してはできていないと語ります。性描写に関しては、東江さんから「性をもっとヘルシーに取り扱うなど、グラデーションが必要では?」といった意見がありました。

画像4

イベントでは、リスナーから寄せられたモヤモヤを「自分自身」「他の人」「コミュニティー・集団」「環境」のどれに関わりが深いかに応じてマッピング。“性”に関する問題の多様さが浮き彫りになりました。

また終盤では、いくつかのテーマを取り上げて解決策を議論。「性的な発言を不快に思った時」というテーマでは「嫌だと思ったらしっかり怒る」「何に対して不快と感じたかを伝える」という意見にまとまりました。また「容姿いじり」というテーマに関しては、白鳥さんから「自分の容姿が他人に不利益を生むことはない!」というポジティブな持論が飛び出し、会場を湧かせていました。

画像6

柴田: 今日のイベントではリスナーの方が積極的にコメントをくださり、シリーズ化すればもっと議論を深めていけると感じました。YOUR NORMALプロジェクトは、二人の女性が自分のパーソナルな思いから立ち上げた企画で、頭でっかちでないところが良いですよね。コンセプトムービーにも強く共感しました。パナソニックからのメッセージという見え方にはなっていますが、あの動画は世の中への問いであり、二人からのメッセージだと受け止めています。

戦後の日本にモノを行き渡らせるため貢献されてきたパナソニックさん。モノが行き渡った今「次は何をするのだろう?」と多くの人が期待されていると思います。私は他の仕事でも社員の方にお会いする機会がありますが、単にモノの開発ではなく、製品を通じて社会を良くしようと動いている方が多いです。こうした動きが大きくなることで、パナソニックさんはもっと面白い会社になると思いますし、若い世代からさらに支持されるようになるのではないかと思います。

画像6

平山: 多数派の「普通」が存在する中で、『NEUT Magazine』では小さな「普通」を束ねて発信しています。今日のイベントでは、何が多数派であるかはシチュエーションによって違うという気づきがありました。例えば、僕らは小さなメディアの立場で「多様性を認めるのが普通」という発信をしていますが、今後僕らの声が大きくなった場合には、自分達の考えを押し付ける危険性があります。多様性が多くの人達の「普通」となった時に、何を発信していくかを考えるきっかけになりました。

パナソニックさんは、昨年『NEUT Magazine』が冊子を作った時にサポートをしていただき、小さな活動を応援してくれるイメージがあります。また、世界的に大きな会社がYOUR NORMALのようなプロジェクトを推進することは、僕らが学生の時にはなかったこと。こういった活動が広がることで、世の中が少しずつ変わっていくのではないかと期待しています。

▼レポート後編はこちら