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つながりあう世界へ。くらしを、想いをアップデート。〜VRグラス開発者インタビュー〜

2020年1月、CES2020に出品し注目を集めたパナソニック発の眼鏡型VRグラス。4Kを超える高解像度で、世界で初めて※HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応していることでも話題となりました。
単なるAV技術の進化ではない、くらしをアップデートするためのVRグラスとは何か?プロジェクトメンバーたちにインタビューしました。

※ HDRに対応した眼鏡型VRグラスとして。2020年1月7日発表時点。パナソニック調べ。

新しいライフスタイルの在り方を、世に問いたい。

VRプロジェクトが見据えるビジョンについて、プロジェクトリーダーの鈴木淳也に聞きました。

パナソニック株式会社  鈴木 淳也 (プロジェクトリーダー/ ソフトウェア開発責任者)

ープロジェクトのビジョンについて聞かせてください。

鈴木:VRの開発というと、ゲームやイベントでの活用をイメージされる方が多いと思います。もちろんそういった活用も視野に入れていますが、パナソニックがやるのであれば、もっと人々のくらしに寄り添い「健康で文化的な生活」に革新を与えたいという想いがあります。今、人生100年時代と言われるようになりましたが、健康でいきいきと活動できる時間をいかに長く持てるかが重要な課題。年齢を重ねると視力や体力の衰えから、行動範囲が狭まりますが、そこにVRという手法を使って新しい提案ができないかと考えています。

また現在(2020年6月9日取材時)、世界は新型コロナウイルスにより、非接触社会へのシフトが加速しています。リアルな身体性を伴うくらしから、身体性を伴わないくらしへと変化していくなかで、リアルとバーチャルの境界を越えてつながりあう世界をつくりたい。新しいコミュニケーションの手段として、VRが貢献できるのではないかと考えています。

ー熱い想いがあるのですね!

鈴木:このVRは、もちろん技術は詰まっていますが、それ以上に、新しいライフスタイルやコミュニケーションの在り方を世に問う製品としての可能性に満ちていると思っています。目標は高く! いずれは、ポスト・スマホとなって、ひとり1台所持するのが当たり前になればいいですね。

日々、想いに共感し、影響を受けています。

当初は3人で始まったプロジェクトも、今では海外や兼任者を含め31名のメンバーに。皆、プロジェクトのビジョンに共感し、事業化に向けて取り組みを進めています。ハードウェア担当の近藤敏明、そして2020年度より参加となった若手の下尾波輝と、藤井由香に話を聞きました。

近藤 敏明(ハードウェアPF開発リーダー)

近藤:このチームは少数精鋭のため、一人ひとりに求められるスキルが高いんです。ですから個々のスキルをいかに最大化させるかが重要。私は今、若手2人の上司という立場ですので、彼らが輝き、活躍できる環境をつくっていくことを心がけています。

下尾 波輝(ソフトウェアUI/UXを担当)

下尾:4月からこのプロジェクトに携わることになりました。日々、先輩たちの熱い想いに共感し、影響を受けています。

VRをどのように活用してどんな体験をつくることが人にとって最良なのか、このプロジェクトで追求していきたいですね。既存のヘッドマウントディスプレイは、自分にとっては大きく抵抗があります。自分が使いたいと思えるものを開発したいです。

藤井 由香(電気回路設計を担当)

藤井:社内制度を利用して、5月にこちらに異動しました。以前の部署で一緒に仕事をしていた近藤さんから、おもしろいプロジェクトがあると聞いて、ぜひ参加したいと思ったのがきっかけです。

異動してきて驚いたのは、一人ひとりの仕事の領域が広いこと。私もエンジニアとして、自分の幅を広げていけたらと思っています。また、先輩方のプロジェクトの想いや技術へのこだわりには驚くばかり。私たち若手も負けずに、自分たちの考えも実装されるように頑張ります!

想いを共有できる方と、一緒に開発したい。

事業化に向けた課題のひとつであるメンバーの確保について、引き続きプロジェクトリーダーの鈴木淳也、そしてハードウエア開発責任者の芹澤誠と、事業開発担当の菊池耕祐に聞きました。

ー新しいメンバーを探しているそうですが。

鈴木:そうなんです。我々が実現したいビジョンのなかに、まだ足りないスキルがあるからです。私たちの成し遂げたいビジョンや事業像に共感し、本当におもしろい、やりたい、と思ってくれる方とともに開発することが最良の結果につながると確信しているので、情熱を持って一緒に取り組める仲間を巻き込みながら、プロジェクトを進めていきたいと考えています。

ー具体的にどんな人を探していますか。

鈴木:現在は、AVの技術をやっていたメンバーが多いですが、色んな側面から議論できるのが理想。たとえば、医療分野に強い方もいれば、ロボット分野に強い方、もしくはUXデザインや機構系エンジニアなど、幅広い分野の人を求めています。

また、バーチャルの世界に関して、我々の世代と若い人とでは感覚が違います。今はメンバーの平均年齢が少し高いので、若い人を仲間にしてもっと活発に議論し、前に進めていきたいと考えています。

芹澤 誠(ハードウエア開発責任者)

芹澤:このVRグラスは女性にもつけてもらえるデザインを意識していますが、今はまだ分厚いことが課題。ゆくゆくはサングラスのように薄くしていきたいと考えています。この課題にチャレンジする仲間も見つけていきたいですね。

事業開発センター 菊池 耕祐(事業開発を担当)

ー技術職以外の人はどうでしょうか。

菊池:技術職以外も、もちろん必要です。私は自身も技術ではなくビジネスサイド側からの参加です。技術は疑う余地もなくトップクラスのメンバー。自分は事業開発の立場から、ビジョンをメンバーとともにつくり、事業の成長性と事業の継続性を実現するために事業化を推進しています。それぞれのスキルを活かせる場所はあるので、まずは想いを共有できる方とご一緒できたらと思います。

このプロジェクトは、熱いビジョンだけではなく、先進のテクノロジーとの両輪で進行しています。技術開発陣には、DVDやBlu-rayの規格化などAV関連技術をフロントランナーとして牽引してきた小塚雅之と柏木吉一郎が参画。これまでパナソニックが培ってきた技術力を余すところなく使って、プロジェクトの土台を支えています。そんな2人にも、プロジェクトにかける想いなどを聞いてみました。

ーどんなきっかけから技術開発が始まったのですか?

小塚:VRの技術開発は、DVDやブルーレイ、テレビの開発に携わっていたメンバーから始まりました。近年、家族みんなでテレビを観る時代から、スマートフォンで各々がコンテンツを観る時代にシフト。私達は新しいテーマ、事業の出口を模索していました。スマートフォンはどこでも観られる利点がありますが、大画面のたのしさはないですよね。ならば、スマートフォンにVRを合わせたら個人用のOLEDテレビがつくれるのではないかと考えました。

柏木:既成事実をつくるため、2019年の春、CESに出品すると宣言したんです。当時のメンバーはまだ4名でした。無謀かと思われましたが、おかげさまで大反響をいただきました。認知も広がり、晴れて事業化のために動き出すことができたというわけです。

パナソニック株式会社 柏木 吉一郎

ー技術の視点では、VRグラスは、どのような分野へのアプローチを検討していますか?

たとえば高齢化社会を見据え、衰えた視力を補うアシストの分野などがあると思います。また、話題の5Gと組み合わせることで、歩行中に周辺情報を収集したり、スポーツイベントで遠くの選手を観たりと、さまざまな可能性があると考えています。

<CES>圧倒的な高画質&軽さ! パナソニックのVRグラスがもたらす新体験

多くの人に体験していただき、アップデートしていきたい。

最後に、今後の活動について、ソフトウェアエンジニアの小川英に話を聞きました。

小川 英(ソフトウェア設計を担当)

ープロジェクトの今後の活動について教えてください。

小川:CES2020に出品したことでフィードバックをたくさんいただき、新たな課題が見えてきました。今後も、積極的に世の中に出してフィードバックをもらうことが必要ですので、顧客接点をつくれる取り組みをしたいと思っています。

また、パナソニック社内の皆さまにも私たちのVRグラスにぜひ触れていただき、忌憚ないご意見を聞かせていただき、アップデートしていきたいと思っています。

*記事の内容は取材当時のものです。


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