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時代を超えて、自由な働き方の可能性を切り拓く

軽さ、頑丈さ、バッテリー駆動時間の長さにこだわってつくられ、モバイルワーカーの仕事道具として支持されてきたPC、「レッツノート」。そんなレッツノートは、2022年から新たなブランドメッセージとして「いこう、ビジネスの現場へ」を発信しています。このマガジン「レッツノート ブランド読本」では、あるべき姿を模索するレッツノートチームの思いをお伝えしていきます。

誕生から27年を迎えるレッツノートは、働き方の変化に合わせて進化を続けてきました。今回、レッツノート事業に関わる2人に、レッツノートの歴史を振り返りながら、これからどんな未来を切り拓いていくのかを語ってもらいました。聞き手は、ジャーナリストの服部桂さんです。

村上 紗耶
2021年入社。パナソニックコネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 インフラサービス総括部 ICTサービス部

田中 慎太郎
2003年入社。パナソニックコネクト株式会社 モバイルソリューションズ事業部 技術総括部 プロジェクトマネジメント1部 プロジェクトマネジメント1課

服部 桂
1951年、東京都出身。早稲田大学理工学部で修士取得後、1978年に朝日新聞に入社。16年に朝日新聞社を定年退職後フリーに。著書に『VR原論』(翔泳社)『マクルーハンはメッセージ』(イースト・プレス)ほか。訳書に『<インターネット>の次に来るもの』(NHK出版)や監訳『アナロジア AIの次に来るもの』(早川書房)など。

世の中の変化にあわせて、お客様の「現場」に寄り添う

服部: 今日はよろしくお願いします。はじめに、お二人のことをお伺いしたいのですが、村上さんはどんなお仕事をされている人なんですか?

村上: 法人のお客様に、レッツノートの導入から運用保守、廃棄まで一連のライフサイクルに沿ったサービスを提案しています。1年目から現在の部署に配属されて、現在3年目です。お客様の業種は、建設、食品、医薬品……とさまざまですね。営業と一緒にお客様のもとを訪ねて、主に情報システム部門のご担当者様のお困りごとを聞いています。

現場ソリューションカンパニー サービス&ソフトウェアプラットフォーム本部 インフラサービス総括部 ICTサービス部 村上 紗耶さん

服部: 現在、情報システム部門の方は、どんなことで困っているんですか?

村上: 私が担当しているお客様だと、「忙しくて時間がない!」と悩まれている方が多いですね。ここ数年、コロナ禍でテレワークが急速に普及した影響もあって、新しいITツールの導入や新規構築したシステムの運用・管理の仕事が増えています。でも、本当に情報システム部門の方々が力を入れたいのは、「DX」や「IT戦略」。会社の生産性を上げるための業務なんですよね。「その時間がとれない!」と。

服部: 社内各所から「パソコンが壊れた」「カメラが起動しない」「社内ネットワークにつながらない」……なんて問い合わせが次々と来て、対応に追われるわけですね。

村上: そうです。ですから、最近はそうした“守りの業務”の負担を軽減するためのサポートに力を入れています。お客様が本来の仕事に集中できる時間を生み出すことが、私たちの役割です。

服部: そうなんですね。それでは、田中さんにもお話を伺いたいと思います。田中さんは、ずっと開発担当なんですよね?

田中: はい。2003年の入社以来、レッツノートの機構設計を担当してきました。各部品の構造や形状、筐体内のレイアウトをする役目です。レッツノート「QR」シリーズのプロジェクトリーダーになって、いま開発責任者を務めています。2023年6月に「QR」シリーズが発売され、ホッとしているところです。

モバイルソリューションズ事業部 技術総括部 プロジェクトマネジメント1部 プロジェクトマネジメント1課 田中 慎太郎さん

服部: さきほど、村上さんから、顧客のニーズについて説明をしていただきましたが、製品の設計にはどのように反映されているのでしょうか。

田中: コロナ禍が落ち着いてきて、いまはリアルとオンラインが混じり合った「ハイブリッドワーク」と呼ばれるワークスタイルが増えています。場所を選ばずに働くモバイルワーカーが最大限に能力を発揮することに貢献したい。そんな思いでつくったのが「QRシリーズ」です。

たとえば、会社や自宅だけでなく、カフェや移動中などセキュリティに不安がある場所での仕事も増えており、そういった場所でも安心して仕事ができるようにカメラにAIセンサー付きカメラを搭載し、覗き見されると教えてくれる機能を搭載したりしています。

田中さんが開発責任者となったレッツノート「QRシリーズ」

村上: お客様とやりとりするなかでも「セキュリティ」の話はたびたび出ます。この前も、万が一の紛失・盗難時にPC内に保存されているデータを遠隔で消去できる「TRUSTDELETE(トラストデリート)」というオプションサービスの導入を希望されるお客様がいらっしゃいました。当社はBIOSレベルの開発をしているので、電源がOFFでもシステム丸ごと消去ができるんです。これは、レッツノートならではのポイントですね。

服部: オフィスでも自宅でも、あるいは移動中でも、どこでも同じように快適かつ安心に作業できるというのが、いまの時代は重要ですよね。

村上: ブランドメッセージである「いこう、ビジネスの現場へ」には、働く人や企業のIT担当者が、心配事やトラブルなく本来の仕事に集中できる環境をつくり、自分の価値を高める働き方を実現する力になりたいという思いも込めています。安心・安全に使うためのサポートサービスもこれからさらに充実させて提案していきたいですね。

過去のビジネス環境から、レッツノートの起源を探る

服部: ここからは、レッツノートの起源を探っていければと思います。レッツノートが誕生したのは、27年前の1996年ですよね。

村上: 私はまだ生まれていなかったのですが、当時のパソコン事情はどのようなものだったのでしょうか?

服部: インターネットが普及しはじめて、ようやくパソコンが家庭でも使われるようになってきた頃ですね。ネットがない時代なんて、想像できないでしょう?

少し歴史についてお話をすると、「パーソナルコンピューター(パソコン)」自体は、1970年代からありました。しかし、当時主に使われていたコンピューターは「電子計算機」と呼ばれていて、部屋や家具のサイズで、おまけに性能は現在のスマホより低いレベルでした。

服部 桂さん

服部: それから半導体が登場して、80年代になると小型化、高性能化が進み、机の上に乗るくらいの大きさになった。でもまだまだ高額で、家庭はもちろん、一般企業も簡単に手を出せる代物ではありませんでした。当時、秋葉原に行ったら30~40万円のパソコンも売られていて、「なんだ、軽自動車が買えるじゃないか」と思ったことを覚えています。価格も性能も実用的になってきたのは、90年代に入ってからですね。

田中: 日本では「Windows 95」の登場から、一気にパソコンが普及しましたよね。ノートPCが増えはじめましたが、CPUもOSも同じなかで「独自性のある製品にしよう」と各社が開発に取り組んでいたと思います。

「このままじゃ他社と差別化できない。レッツノート事業として成り立たない」という危機感から、私たちは持ち運ぶこと、つまり「モバイル」に特化しようと決めました。2002年に誕生したのが、いまのレッツノートの原型ともいえる「CF-R1」です。当時、開発に臨むにあたって「モバイルワーカー向けに必要なのは、1㎏以下の重さで、6時間以上の駆動時間だ」と大号令がかかったと聞いています。

服部: それを実現した、と。

田中: そうです。それからは、パソコンを持ち運ぶことが当たり前になっていったのですが、すると今度は「ぶつけたり、落としたりして壊れる」という声が多くなってきた。それで「もっと頑丈にせなあかん」となりました。ただ頑丈にするのではなく、モバイルワーカーになったつもりで1日を仮説検証し、満員電車でもみくちゃにされても絶対に壊れないものにしようと、レッツノートと自分の身体に加圧センサーを取りつけて、満員電車に乗り込むという実験をしたことがあるんです(笑)。私が入社2年目のできごとです。

鉄道会社に電話して朝ラッシュの時間帯の乗車率などを調べて、田園都市線で実験をすることにしました。すると、満員電車の車内では、パソコンの天板に累積で100kgf(重量キログラム)ほどの荷重が加わるということがわかり、それを基準に開発を進めました。こういった働く人の「現場」にこだわった設計は、レッツノートに脈々と受け継がれている部分だと思います。

服部: 良い意味で現場主義的なエピソードですね。満員電車の加圧測定以外の実験もしたんですか?

田中: 落下実験もしました。出張中のビジネスパーソンが利用する新幹線のテーブルからの落下を想定して実験しようとなったのですが、実際の新幹線の車内で何度も落下試験をするわけにはいかないので、床材メーカーさんなどの協力を得て、新幹線の床を自分たちで再現して落下試験をしました。ほかに「76㎝落下試験」もやっているんですけど、この76㎝というのは、一般的なテーブルの高さです。まだ、ネットの情報が少なかった時代なので、家具屋に行ってメジャーでいろんなテーブルの高さを測って導き出しましたね。

服部: やみくもに頑丈さを求めるのではなく、常に実際の働き方や使い方を想定しているんですね。それがいまのレッツノートにもつながっている、と。

田中: そうです。誕生以来、一貫してモバイルワーカーの働き方、ニーズに応えるようにレッツノートは進化してきました。「顧客起点」から価値を生み出し、ユーザーがビジネスの現場で最大限の活躍ができるように、という部分はこれからも大切にしていきます。

これからの「パソコン」の可能性を考える

服部: 最後に未来のパソコンがどうなるかを少し話したいんですが、僕は「パソコン」という言葉そのものや、概念が近い将来、無くなると思うんです。

コンピューターはどんどん人間に近づく進化を遂げており、デスクトップやノートの次にはスマホやウェアラブルの時代になって、さらに身体に埋め込むことも考えられています。また環境をIoTなどでインテリジェント化して、部屋や街全体をコンピューター化する発想もあります。AIを活用して、音声や動作でChatGPTなどのソフトにアクセスして、そのまま報告書がつくれる時代もすぐ来るでしょう。

現在のノートパソコンはなくならないとは思いますが、社会や情報環境は大きく変わっていくので、「パソコン」というハードウェアだけに捉われず、「もともとパソコンでしたかったこと」をその時代の環境でより自由に実現できるような、次世代のレッツノートを生み出してほしいと思っています。

田中: そこは両輪で考える必要があるかと。ノートパソコンがなぜ30年以上も変わらない形で残り続けているかというと、やはりキーボードを超える入力方法が他にないからだと思うんですね。たしかに、音声入力や生成AIがすごいスピードで進化していますが、まだそれらだけでは仕事はできない。キーボードに代わる入力装置ができたら、服部さんがおっしゃるように、「パソコン」の形は大きく変わるのではないでしょうか。

ただその一方で、ビジネスの現場において、成熟した技術の結晶であるモバイルパソコンは根強く残るとも思います。でも、それは「パソコン」だから残るというより、「ビジネスパーソンに特化したデバイス」は残る。だからこそ、これまでレッツノートが築き上げてきた、現場に寄り添う姿勢はこのまま突き通していきたいと思います。

村上: 私は学生時代からタブレットやスマホに触れてきましたし、さまざまなデバイスを持っていますが、結局、一番仕事をしやすいのがレッツノートなんですよね。そう考えると、「ビジネスの現場」に寄り添うことが、これまでも、これからもレッツノートの軸となる価値なんだと思います。

服部: 「パソコンの父」と言われるアラン・ケイという人物が、1970年代に理想のパソコンとして発表した構想は、A4用紙ほどのサイズで、軽量、安価。子どもたちでも簡単に使えるものを考えていたようです。いわば教科書と自由帳が組み合わさったデバイスで、そこから情報をパッと引き出してアイデアをササっと記録するというものでした。

僕は「レッツノート」という名前がすごくいいと思っていて、人間の自由な発想を膨らませてくれるノート、つまりアラン・ケイの構想を想起します。私たちの街のいたるところにレッツノートがあって、思いついたときにパッと使って仕事をする。そんなふうになったら、おもしろいなと思います。時間や空間に縛られない働き方の時代がいずれやってくると思うので、そんな時代を見据えて今後も、レッツノートを進化させていってほしいですね。

田中: はい。ご期待に応えられるよう、自由な働き方の可能性を切り拓いていきたいと思います。

村上: お客様だけなく、さまざまな業界、業種の方々からもご意見をいただきながら、みんなで未来のレッツノートをつくっていきたいですね。今日お話を伺って、「レッツノート」という名前を50年先まで残したいと思いました。

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