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エンジニア視点のクリエイティブで、未来のくらしをイノベーションしたい。

「よく聞かれます、『デザインエンジニアって何?』と。確かに一般的ではないかもしれませんが、端的に言うと『エンジニアのバックグラウンドを持つデザイナー』、もしくは、その逆。テクノロジーとクリエイティブの領域を行ったり来たりしながら、アイディアをカタチにし、検証できるレベルでプロトタイピングしていく仕事です」。デザイン本部の「FUTURE LIFE FACTORY」に所属する川島大地は、自身の肩書きをそう教えてくれた。

そもそも「FUTURE LIFE FACTORY」とはどんな部署なのだろうか。「先行開発に特化して活動するデザインスタジオです。『未来の豊かなくらし』とは何かを再定義し、アイディアを提案、具現化するのがミッションです」。川島は、チーム唯一のデザインエンジニア。将来起こりうる社会変化や未来起点の発想、いわゆるバックキャストで物事をとらえ、手を動かしアイディアをカタチにしている。たとえば、子ども向けスマート知育玩具「PA!GO」。カメラ機能で対象物を撮影すると、画像をAIで解析し名前を教えてくれる。昆虫や植物などリアルな世界に子どもたちの好奇心を駆り立て、「遊ぶ」「学ぶ」意欲を育んでいくもの。現在は、このプロダクトを発展させて段ボールキットにし、市販の電子部品を使って組み立てられるカタチで提供できるよう進められている。

実はこのスタイルこそが川島の取り組み。大切な誰かに届けたいモノづくりを応援する「D+IO(ドゥーイングアイオー)プロジェクト」だ。きっかけはコロナ禍にある。「マスクのように手づくりして誰かにプレゼントしたり、モノづくりのあり方が変わってきています。じゃあ、モノづくり企業としてパナソニックも何かお役立ちできるのではないかと」。これまでの「DIY=Do It Yourself」は自分自身のためにつくること。「With/Afterコロナの時代では、大切な誰かのためにみんなでつくる『Do It Ourselves』の思いで『D+IOプロジェクト』を立ち上げました」。「+」記号に「ing」の意味を込めてDoingと読み、豊かなくらしへのアップデートも表現している。

「D+IOプロジェクト」は企画を公式サイトで紹介し、部品やつくり方をソフトウェア開発で有名なウェブサービス「GitHub」で無料公開。気軽に挑戦していただけるよう、電子部品の購入先リンクや配線図、組み立て方をやさしく説明している。第1弾は「CO₂換気アラートデバイス」。室内の良好なCO₂濃度を超えないように音と光でアラート。新型コロナウイルス感染予防対策のなか、適切な換気タイミングを促してくれる。第2弾は「小動物ヘルスケアデバイス」。家で過ごす時間が多くなりペットを飼う方が急増。特にハムスターや小鳥は人気だが、小動物用ヘルスケア商品はあまりない。そこで健康状態や飼育環境をセンサで可視化し、IoTの技術を使って大切なペットの健康管理をキチンと行うものだ。

新たな企画は定期的に公開予定。アイディアを次々生み出す川島に、モノづくりにこだわり始めた経緯を尋ねると納得の答えが返ってきた。「子どもの頃、組み立てブロック玩具が大好きでした。モータやセンサもあって、プログラムまで書いていろんなロボットを組み立てて遊んでいました」。プログラミングや電子工学への興味は尽きず、大学ではコンピュータサイエンスを専修。センシングやサーバ、プログラミング、ハードウェアなどを学び、プライベートでもソフト・ハード問わずつくることで専門知識を貪欲に身に付けていった。

そんな川島が最初に選んだ仕事はインターネット関連サービス企業でのサーバエンジニア。次は総合クリエイティブプロダクションでクライアントからの依頼を具現化する仕事。そしてパナソニックで現職に就いた。「0からものを生み出す仕事をしたかったんです」。川島は続ける。「くらしを豊かにするものを、テクノロジーを駆使して自分の手で生み出したい。そんな夢が以前からあったのですが、今の環境はそれができるんです。しかも前職までに培ってきたエンジニアとしての知識やスキルも活かせる。『デザインエンジニア』の仕事が本当にたのしいんです」。

川島は現在、自ら生み出した「D+IOプロジェクト」を、自らの裁量でPR施策まで行い、自らメディアに露出しながら世の中に広める周知活動もしている。「責任も大きいですが、それ以上にやりがいが大きいですね」。夢へと突き進むモチベーションが、きっと新しいスタンダードを生み出すようなイノベーションを起こすに違いない。

<プロフィール>

川島 大地(かわしま だいち)
デザインエンジニアリング
パナソニック株式会社
2019年キャリア入社 理工学研究科卒
組み立てブロック玩具以外にも、夢中になったものはたくさんある。子どもの頃は野球に真剣に取り組んだし、大学時代はゴルフやバンドも...。とにかく多趣味。今も引き出しをたくさんつくるために、日々幅広くアンテナを張って情報収集することを欠かさない。

◆パナソニック採用HP
https://recruit.jpn.panasonic.com/

*所属・内容等は取材当時のものです。