希望 | 都立富士高等学校2年 宮木朋音
東日本大震災から今年で10年が経ちます。
当時、私は小学校1年生でした。あの日のことは10年経った今でも覚えています。友達と一緒に帰っていたところ、急に地面が大きく揺れ、周りの大人の人に励ましてもらいながらしゃがんでいました。その後、安全な場所に行ってから見ていたニュースの映像はとても衝撃的なものでした。住宅街に津波が押し寄せ、車や大きな建物まで流されている、そんな映像は現実とは思えないような状況でした。
東日本大震災から何年か経ち、福島へ行った際もまだ瓦礫が残っていたり、建物が倒れていたり、復興の難しさを実感しました。10年が経とうとしている今、改めて被災地の現在の様子を見たところ、少しずつ復興しているのがわかりました。この10年には私たちが知り尽くせていないたくさんの方々の努力と苦労があると思います。そして、あの災害からここまで復興出来ているのは、簡単なことではなかったと思います。東日本大震災の後、授業で当時のことを聞いたり、防災訓練の回数が増えたり、それを通じて学んだことがたくさんあります。風化させないために10年が経ってもあの日のことを忘れず、そして次の世代へとどんどん伝えていき、いつ起こるかわからない災害に備えることがとても大切だと思います。
そして、復興の象徴として目指してきた東京オリンピック・パラリンピックも新たな世界規模の問題によって1年延期となってしまいました。その問題とはコロナウイルスです。
まさか、こんなことが起こるとは東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した当初は想像もしませんでした。前例のない事態に世界が混乱しています。
しかし、この状況を見ていて思うのが、私たちは時々、(ある方がこの言い方をされていたのですが)正しく恐れるということができていないように感じます。SNSが普及している今、もちろん正しい情報も、誤った情報もすぐに広まります。混乱していると、私たちは誤った情報をすぐに信じて流されてしまいがちです。誤った情報をすぐに信じて恐れるのではなく、正しく恐れることが大切だと思います。このことについては、コロナウイルスだけではなく、他のことに関しても大切なことだと思います。
コロナウイルスに対する気持ちを聞くと、色々なものが奪われた・コロナのせいで…・コロナが無ければ…などなどマイナスの意見を聞くことが多くあります。私もそうです。人生に一度の高校生活が昨年の1年はほとんど学校にも行けず、修学旅行や学校行事も中止、本当に悔しい思いをしました。辛いのはみんな同じだと思います。しかし、マイナスに考えて、悲しんでいても何も変わりません。そこで、私は今だからこそできたこと、できることを常に考えるようにしています。そして、未来に希望を持っています。東日本大震災という大災害も10年という時を経て少しずつ復興へと近づいています。前例のないコロナウイルスも、いつか元の生活まで戻れるかはわかりませんが、マスクなしで気軽に旅行へ行ったり、当たり前の生活を送ったりできるような未来があるはずです。今は辛いことも多いですが、当たり前が覆った今だからこそ新しいものに挑戦したり、何か行動を起こしたりすることによってこの時期をマイナスからプラスに変えられると思います。そんな何かを見つけてみてください。
震災から10年を迎えた今。
日本は、いえ、世界は未曾有の事態に直面しています。
そのような困難な状況でも、未来を見据え、力強く生きようとする若い世代の人々がいます。
3月中、パナソニック_ソウゾウノートでは、震災から10年を迎えた日本に向けて、そして新たな壁を乗り越えようとしている世界に向けて、次世代から寄せられたメッセージを掲載していきます。
協力:文化プログラムプレスセンター