
世界の次世代リーダーから刺激を受ける~One Young World
パナソニックグループでは、人材育成の観点から、若手社員がグローバルで活躍し成長できる機会や環境づくりに注力しています。未来を担うグローバル人材、次世代リーダーの不足が世界各国・地域の課題となっている今、イギリスを拠点とする非営利団体 One Young World(以下、OYW)が主催する「ワン・ヤング・ワールド・サミット 2022(以下、OYWサミット 2022)」が2022年9月5日~8日にかけてマンチェスターで開催され、パナソニックグループからも5人の若手社員がはじめて参加しました。
「ヤング・ダボス(ダボス会議の若者版)」とも呼ばれ、世界202の国・地域から2,000人以上の次世代リーダーたちが集まり、さまざまな社会課題について熱い議論が交わされる本サミット。現場に臨んでおおいに刺激を受けてきたメンバーに、今回のサミットの印象と未来にかける想いを聞きました。
次世代リーダーの集う「ヤング・ダボス」に初参加
イギリスを拠点に2009年に設立されたOYWは、現代社会に生きる若者たちを「人類史上、最も情報量を持ち、最も繫がっている世代」であるとし、世界中の影響力のある若きリーダーたちが交流・議論できる場として「OYWサミット」を2010年から毎年1回、都市を変えて開催。
世界中の社会活動家、社会起業家、グローバル企業の若手社員などの次世代を担う優秀な若年層に、より多くの可能性とリーダーシップを発揮できる場を提供しています。
世界をより良くするためのサポートを目指す、大規模かつ大きな影響力を持つプラットフォームなのです。


サミットはメインステージとサブイベント会場のほか、ワークショップ/アクションセッションのためのスペースが用意され、連日多数のスピーチやプレゼンテーション、パネルディスカッションが展開されました。産業界、政界、そのほか社会活動におけるリーダーたちとの対面の機会も交えながら、気候変動から紛争解決まで、地球の未来に関する課題についてのさまざまな議論が繰り広げられました。


企業や団体を立ち上げたリーダーたちが活動成果を発表した
パナソニックグループからは5人の社員が参加し、マンチェスターで4日間にわたり、密度の濃い時間を過ごしてきました。

磯西クリス、針谷爽の5人。
参加メンバーの一人、生駒善光(いこま よしみつ)は、「国際的なサミットということで、静かで落ち着いた雰囲気なのかなと思っていたのですが、まったく違いました。開会式からものすごい盛り上がりで、踊り出す人たちもいたりして。セッション会場も、お堅い雰囲気ではないんですね。登壇者が緊張して言いよどんだりすると、客席から励ましの拍手が起こったり。ディナー会場はこれまたダンスフロアのような雰囲気で……連日カルチャーショックを受けていましたね」と振り返ります。
デザイナーと技術者、それぞれの視点でサミットを体感
パナソニック(株)のデザイン本部に所属する針谷爽(はりがや さわや)と朝倉めぐみ(あさくら めぐみ)は、OYW 2022に参加したことで、国や地域によって問題との距離感や捉え方が違うと再認識できたことも含め、「知らないうちに凝り固まっていた意識をいい意味で壊してもらえた」といいます。
針谷は当初、自らの仕事に参考になりそうなサービスデザインやイノベーションについてのヒントをもらえるかも、という期待を持ちながら現地に向かっていました。
「いざ会場の熱気に触れてみると『あ、ここはそういう場所ではない』とすぐに気づかされました。現地では数多くのセッションやワークショップがあり、参加者たちの『みなと対話をしたい』という熱意と意欲がすごかった。ただ何かを『もらう』つもりでいたらダメなんだなと。
あるワークショップでは『50年後の2072年に住んでみたいまち』をブロックで作って各自で発表しました。自身の担当業務でも『まちづくり』系の業務に携わっていますが、基本ともに構想を練る相手は日本人。でもこのワークでは、世界各国・地域の方たちと意見交換をすることができて、ものすごく新鮮でしたね」

日々の業務ではおもにインサイトリサーチに携わっている朝倉も、こうしたサミットへの参加ははじめて。課題解決の現場で活躍する同世代の姿におおいに触発されたといいます。
「ワークショップ/アクションセッションは、部屋に入りきれないほどの参加者が集まるテーマもあり、特に活気にあふれていましたね。テーマとしては、地球環境はもちろん、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)関連のセッションも印象的でした。
DEIにも関わるかと思いますが、女性の社会進出に関するもの、たとえばSTEAM教育(※)を受ける女性が少ない、といったジェンダー関連のものも多くありました。またグローバルな視点で見ると、紛争や衛生・健康に関する問題もごく身近な課題であることがわかりました」
※STEAM教育: Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」に、Art(芸術)を加えて提唱されている、創造的な課題解決能力を養う教育手法



生駒は、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、PHD)の技術本部に所属。パナソニックグループが打ち出している長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の実現に向けて各部門と足並みをそろえながら戦略づくりを進めています。
「普段の業務では、気候変動に対してどんな対策をしていくか、『What』『How』にあたるところを検討することが多いのですが、本サミットでは実際に洪水の被害にあわれて住む場所を変えざるを得なくなった方が登壇されていて、環境問題イコール自分の問題として情熱を持って活動をされている。『なぜこの取り組みが必要なのか』を身の回りの課題として熱く説明・説得し、みんなを引き付ける――その姿勢を学ばせてもらいたいと思いました」

磯西は、製造現場や物流現場にITとAIを導入する「現場ソリューション」を推進しています。
「『ブロックチェーンとWeb 3.0』がテーマのセッションに参加したのですが、セキュリティはだいじょうぶなのか、誰が管理するのかなど賛否両論となりたいへん盛り上がりました。質疑応答では私も質問をして理解を深めることができました。ほかにもジェンダーやダイバーシティ関連のセッションにも参加しましたが、日本にいるとなかなか感じることのできない熱量を感じました」。

徳原健富(とくはら たけよし)は、イメージセンサの研究開発に取り組んでいます。今回はOYWサミットの意義の一つでもある「リーダーシップ」についての議論に触れてきました。
「気候変動、貧困、ジェンダー、紛争といった課題のほかに、大きく扱われていたのが『リーダーシップ』でした。リーダーシップの育成が、世界的な社会問題として取り扱われている。気候変動の議論であっても、たとえば『再生可能エネルギーをあらゆる人々が意識せずに利用するようになるために、リーダーである人たちは、政府や組織とどう関わり、どう動くべきか』ということを討議します。
日本だと『みんなでいっしょに同じように実践しよう』となりがちですが、『無理のない範囲で人々が自然とエコな行動に移る』流れをどう創っていくか、それがリーダーに求められているという発想が新鮮でしたね。
ある大企業の若いリーダーたちの事例として、自社の研究開発で使用したバッテリーをリユースし太陽電池と組み合わせて、南アフリカのある小学校の電力をすべてまかなえるようにしたプロジェクトの紹介がありました。再生可能エネルギーを利用できるようになっただけでなく、それまで環境活動とは縁のなかった子どもたちがその意義を知る教育の機会も得られたということで、まさにサステナブルな取り組みだなと感じました」

テクノロジー本部 マテリアル応用技術センター 徳原 健富


今回のサミットでは休憩時間を「ネットワーキング・ブレイク」と呼んでおり、これも刺激の一つとなったとメンバーは振り返ります。限られた期間中、休憩や食事の時間でさえも交流の機会として活用できる、常に何かしらの収穫を得られるよう配慮されていたイベントでした。
課題を自分ごと化し世界中の同僚たちとつながる
今後、OYWサミットに参加したいという若手社員に向け、生駒は「対話」の重要性についてアドバイスします。
「このサミットは、『私の言うことを聞いてほしい』だけではなく『人と対話をしたい』というタイプの方が向いていると思いますね。そして自分のことだけでなく、日本の現状について語れるほうがより良い。世界のいろんな方の考え方、文化を学び、次のアクションを起こすための刺激にしてほしい」
磯西は帰国後、組織の枠を越え自らアクションを起こすことを始めました。
「パナソニックグループの創業者 松下幸之助は、当初から社会貢献を念頭に置いて事業を推進していきました。今回の体験を経て、今を生きる私たち社員も、自らの担当業務からさらに視座を高めて『パナソニックグループとしてできることは何か』を考えていくことがたいせつだと気づくことができました。
帰国後、何か自分でもアクションができないか、まず探ってみよう!と、グループ内のグローバル規模の社内ネットワークやLGBTQなどのコミュニティを立ち上げている人たちとやりとりを始めたところです。グローバル企業の一員として、組織の枠を越えたコミュニケーションを意識的に推進していくところから取り組んでいきます」

すべてにおいて「インタラクティブ」が基本であることを実感した針谷。
「プレゼンテーションのあり方にしても、ただ自分の頭の中だけで作った資料がすべてではなく、受け手の反応込みで成り立つものなのだと。そしてあらゆる課題に対して自分ごととして語れる何かを持ち、より『熱』を込めることのたいせつさを学びました。
コロナ禍のせいもあり、この数年、海外に行くこともなく、無意識のうちに『日本で日本のお客さまのために生み出すサービス』のことしか考えられなくなっていたように思います。ですが、今回の体験を通じて、普段から視野を広く持ち、もっと世界に目を向け、課題を知っていくことの重要性を感じることができました。
環境やエネルギーの分野など、パナソニックグループが世界に貢献できる領域はまだまだある。そのことをリアルな現場で、肌で感じることができたのは大きな財産になりました」
OYWサミットへの参加を経て、世界の同世代の仲間たちが活躍している姿にパワーをもらった、という朝倉。
「あるワークショップでは、グローバル企業の若手社員が世界中から集結し、初対面同士ではありながらも、協力し合って自社のセッションを開催していました。OYWサミットのような場で世界中の同僚と会って協力し合える、これはまさにパナソニックグループでもトライできること。
今後、こうした機会を活用して、世界中の同僚たちと国・地域を越えたつながりを持ち気軽にやりとりし、世の中に貢献できるようなインパクトを生み出していけたら良いなと思います。今後も社員同士でつながれる場への参加や、つながりをつくる場を創出していきたいです」

パナソニックグループの経営基本方針には、「人をつくり人を活かす」という考え方があります。将来にわたり社会の発展に貢献し続けるためには、グループの社員一人ひとりが輝き、自らの持てる力の全てを発揮していくことが不可欠。
高い意欲と専門性を持つ若い社員が、自身の活躍の場を見いだし、挑戦し、成長し続けられる機会を提供すること。これこそが、パナソニックグループが未来を担う人材に対して果たすべき役割であり、同時に自らが発展していくために欠かすことのできない取り組みなのです。
記事の内容は発表時のものです。
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