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未来の豊かさを問い、具現化する社内デザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」とは?

こんにちは。FUTURE LIFE FACTORYの井野です。パナソニックのデザイン組織の中には様々な役割のチームが存在しています。そんな中から今回はFUTURE LIFE FACTORYという社内デザインスタジオをご紹介します。

チーム名に込めた思い

パナソニックにおけるデザインの主な役割は事業部で開発する商品やサービスのデザインをすることです。それはとても重要なことなのですが、デザイナー自身は既存の事業領域に限らず、「こんなモノがあったらいいのに」「あんなコトがあったらいいのに」と日々妄想を膨らませています。もちろんそれを社内で提案したりする機会はほぼありません。でも生活者の一人でもある自分自身が、日々感じている課題である”Personal Issue”や「こんなものが欲しい!」と思う気持ちは、きっとこれからのくらしに役立つのではないか?それを実現する仕組みが必要なのではないか?そんなデザイナーの思いからFUTURE LIFE FACTORYという異色のチームは2017年に社内の家電担当のデザイナーを中心にスタートしました。

チーム名も設立時のメンバーで思いを込めて考えたものです。パナソニックのずっと変わらないくらしへのお役立ち、そしてその未来を“具体的に提案する”ことにこだわる意志のFACTORY。少し変わったロゴマークも見る人によって色々な想像ができるようにと抽象的なグラフィックにしていますが、自らの手で未来を切り拓くために、人間の手の進化の起源と言われる魚のヒレの骨格をモチーフにしています。

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メンバー構成は、設立当初は家電のプロダクトデザイナーだけでしたが、住宅系のデザイナーやUI/UXやサービスデザイナーが入ったり、自らコピーライターを名乗り新たなデザイン領域にチャレンジするメンバーも現れたり、キャリアでエンジニアを採用するなど、固定ではなく6〜8名程度と少ない人数ですが流動的に変化しています。現在はプロダクトデザイナー3名、デザインエンジニア3名という構成で、チームそのものもプロトタイピングしていると言えます。

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FUTURE LIFE FACTORYのミッション

FUTURE LIFE FACTORYのミッションは「人間らしいこれからの豊かなくらしを探求する」ことです。一言で “Next Humanity”。設立当初から掲げている大きな活動コンセプトです。それを具現化するために日々取り組んでいるデザインの研究開発である「未来思索」。その活動の中から生まれた大きなくらしのコンセプトを社内外に発信する「ビジョン発信」。そして次世代、異分野、異業種と、自分たちの得意領域やパナソニックの事業領域を越え、様々なクリエイターの方々と共創し、社内外を繋ぐ「コラボレーションHUB」になること。この3つの大きな活動を柱に日々デザインを行なっています。

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常に世に問いながら、進んでいく

そんな活動から今まで様々な提案を行ってきました。例えば「WEAR SPACE」というプロジェクトは、フリーアドレス化の進むオフィスで他人に邪魔されずに仕事に集中するためのウェアラブルデバイスです。このアイデアはプロトタイプの段階から様々な方の意見を聞くことで、ネガティブな反応もありましたが、ニーズや届けるべき人たちがいることを確信し、FUTURE LIFE FACTORYとしては初めて商品化に挑戦しました。市場規模も分からないアイデアをパナソニックですぐに事業化することは難しく、それならばと一緒にこの活動を盛り上げてくれる人や、一緒に開発してくれる会社を自分たちで見つけ、クラウドファンディングを行い、紆余曲折ありましたが何とか商品化に辿り着くことがきました。

また「EXPANDED SMALL」というプロジェクトではYURAGIという縛られたくない若者のくらしに対する価値観をコンセプトに、四畳半の小さな動く住まいで、さまざまなサービスとつながり、豊かさや楽しさが拡がるくらしのビジョンを発信したり、「Your Normal」という自分らしく生きるためのプロジェクトでは、幼少期の性教育絵本から思春期の子たちに向けた啓蒙動画制作まで、通常の社内デザイナーの仕事では扱わない領域のデザインで、社内外の大きな反響を得ました。また「D+IO」(Doing it ourselvesの略)という、自分のためのDIYではなく、大切な誰かに届けたいみんなのモノづくりを応援する活動では、3Dプリンターや電子部品の進化などにより、個人で色々なものが簡単に作れるようになった今だからこそ、アイデアのレシピをソースコード開発・共有サービスであるGitHubに公開し、みんなでモノづくりをアップデートしよう!という、モノづくりプラットフォームを実現させようとしています。

社外発信の意義

こんな風に、プロジェクトの内容は様々で、メンバーそれぞれが人の意識の変化や社会の動き、世界中の様々な兆しにアンテナを張り、大きなトレンドになっていない小さな兆しにも目を向け、これからのくらしのために、今から取り組んでおかなければ!という強い思いでプロジェクトをスタートさせています。ほとんどのプロジェクトは社外に公開しているので、その後の活動を共にするパートナーが見つかったり、社外の反響から社内が動き出し、他の社員も巻き込んだ活動になったり、もちろん出口が見つからずにプロジェクトをストップしたり、公開後の動きも様々ですが、社外に発信することで、はじめて自分たちの考えていることが世の中にとって必要なアイデアなのかどうかが分かると実感しています。これはオフィスに籠ってメンバーで話し合ったり、検討しているだけでは絶対に分かりません。

情熱に突き動かされて

そしてメンバーは2〜3年程度FUTURE LIFE FACTORYに所属し、自らのクリエイションの幅を拡げ、またパナソニックの事業の前線に帰ってデザインを行うのですが、プロジェクトによってはチームを離れてからも、起案者自ら活動を続けていることもあります。なぜならFUTURE LIFE FACTORYで取り組む課題は、最初に言ったように個人の課題意識”Personal Issue”を起点にスタートしていることが多いからです。普通の仕事のように「あとはよろしく!」と、簡単に引き継げるものでは無く、自分が0からスタートしたプロジェクトのため、熱意を持って最後までやり遂げたい!と思う気持ちが強いのです。

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たった数人の小さなチームがパナソニックという大きな会社を動かしたり、会社のビジョンを描くことはできないかもしれません。でも、こんな未来があってもいいんじゃないかと想像し、自らの手で生み出したプロトタイプで思いを伝え、人の心を動かし、社会を変え、未来へとつなげていく。メンバー1人1人の課題意識こそが未来を作り、次の事業につながると信じている、そんな組織、FUTURE LIFE FACTORYの活動にぜひご注目ください。

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2021年11月8日から14日、二子玉川の蔦屋家電にて「FUTURE PROTOTYPING 未完成の未来展」を開催します。
FLFは「未来の豊かなくらし」をテーマに、これまでも様々なプロトタイピングを公開しながら、新たな可能性を探ってきました。今年のテーマは「デジタルとフィジカルの価値融合によるプロダクトの可能性」。この活動から生まれたばかりの新たな6つのアイデアを、プロトタイプとして公開します。展示期間中はメンバーも常駐していますので、是非お越しください!

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