これからのくらしをつくる住設建材を、お家まるごと提案したい。
「愛は与えるもの」。入社して最初の上司がよく口にしていた言葉だ。営業だからと言って、いきなりお客さまに何か買ってもらおうとしてはダメだ。まずはお客さまが何を望んでいるのかをしっかり聞くこと。そして何ができるのか考え、行動する。とにかく相手のことを想い、愛を与え続けなさい。「はじめて聞いた時は正直ピンときませんでした。想像していた営業の仕事とだいぶ違ったので。でも、いまは分かります。それはこの仕事にとって、いかに大切なことなのかって」。
就職活動をはじめた頃の五島成佳は、自分にはどんな仕事が向いているのか、なかなかイメージができなかった。「悩んでいた時、たまたまあるメーカーの説明会に行ったんです。そこでよく知っている商品のなかに、いろんな工夫や技術が入っていることを知って、なんだか感動してしまって」。技術者だった父親に、仕事の話を聞いてみると、身近なところで世の中や、くらしを支える仕事は、素直にかっこいいと思えた。第一志望はメーカー。そう心に決めて、会社を調べはじめた。
そんななかで気になったのが、幅広い事業領域を持つパナソニックグループだった。グループ内の各事業会社の話を聞いているうちに興味を持ったのが、住設建材を取り扱っている事業会社だった。「すでに完成している製品を売るだけでなく、お客さまの希望に合わせて、たくさんの製品のなかから自分なりの提案ができるところがたのしそうだなと思ったんです。また、社員の方から、いろんな人に関わる仕事がしたい人に向いている会社だと聞いて、人が好きな自分に合っているかもと思いました」。
現在、五島はパナソニック ハウジングソリューションズ株式会社で、営業として働いている。キッチンやバスなどの水廻り、ドアや床、太陽光パネルといった、さまざまな住設建材を、代理店や工務店、ハウスメーカーなどに販売するのが主な仕事だ。取り扱う商品が多く、入社したての頃は、それらを覚えるだけで一苦労だった。「実際に施工される会社がお客さまですから、カタログに書いてあることはもちろん、たとえばドアであれば、それを大工さんたちはどう取り付けるのかなども説明できなくてはいけません。具体的なことは建築現場に行かないと分からないので、何度も現場に通って大工さんに教えてもらいながら覚えていきました」。
しかし1年目、2年目の頃の営業活動は、順調とは言えなかった。「営業は、裁量権がすごく大きいんです。お客さまにどういうご提案をして、商品はいくらにして、どのくらい販売するのか。すべて任されています。やりがいがある分、なかなか結果が出ない時は落ち込みました」。そんな五島を見て、声をかけてくれた先輩たちがいた。「営業をする上で大事にすべきことを、いろいろ教えていただきました。営業に同行させてくれたり、お客さまへの提案書を見せていただいたり。『愛は与えるもの』と教えてくれた上司も、そのひとりでした」。自分は売ろう、売ろうとしすぎているのかもしれない。まずは、お客さまが何に困っているか。本当は何をして欲しいのか。探ることからはじめてみよう。それが、五島の営業の基本になった。そして、だんだんと営業目標が達成できるようになっていった。
3年目になると、ある代理店から「新しくできる工務店の立ち上げを手伝ってもらえませんか」と声をかけられた。それは、新しい挑戦だった。これまではお客さまにどんな商品を提案すれば喜んでいただけるか、を考えてきたが、今回は、そもそもどういう家であるべきなのか、から考える必要があった。その実現に、どんな商品やシステムで貢献できるのか。五島は、社内の人たちと一つひとつ相談しながら、ベストと思える商品を提案していった。そして、そのすべてが採用された家が完成すると、五島はすぐに見に行った。「私たちの仕事は、お客さまのところに商品を納品するまで。ご提案した商品が、家のなかに実際どのように組み込まれたのかを見ることは、あまりないんです。だから、完成した家を見て、みんなが嬉しそうにしている顔を見た時は、なんだか感動してしまって。自分の仕事の意味が、改めて分かった気がしました」。
入社した時は、街づくりのようなスケールの大きいことをやってみたいという想いもあったが、いまは家づくりに関わる仕事ができてよかったと心から思う。「家を建てることは、人生の大きな転機のひとつです。その大切な家に、私たちの住設建材が入って、より快適で便利なくらしのお手伝いができる。それってすごく素敵なことだなって。それに、住設建材は家中トータルで提案してこそ、より魅力を発揮できる商品です。そうやって私たちが提案するこれからの住まいを一軒、一軒、街に増やしていくこと。それも、ある意味で明日の街づくりなのかも、と思っています」。
<プロフィール>
*所属・内容等は取材当時(2024年9月)のものです。