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機械が“お肉”を生み出し、ロボットが“完璧な料理”をつくってくれる? 未来の「食事」について、みんなで考えてみた

パナソニック ホールディングスは、くらしにおける問いと対話をテーマにした『q&d』活動を展開しています。q&dでは、一人ひとりが自分にあった理想のくらしを見つけるときによりどころとなる「問い」を立て、読者のみなさまと共有しています。
 
本記事では、大学生のみなさんと「食と環境」をテーマに対話をしたワークショップの模様を、ダイジェストでお伝えします。環境の変化、技術の進歩によって、私たちの食はどう変わり得るのか、それは受け入れられるものなのか、読者の皆さんと一緒に考えていけたらうれしいです。


1000円の牛丼、受け入れられる?

私たちは毎日、ご飯を食べます。生きている以上、興味があろうとなかろうと、「食」とは無関係でいられません。そんな「日々の食事」にもさまざまな変化が訪れています。

たとえば、最近「2年以内(2026年まで)に吉野家の牛丼並盛りが1,000円を越える可能性がある」というニュースが出ていました。

「牛丼チェーン店に行ったことない」という人にはピンと来ないニュースかもしれませんが、記事によると2013年に280円だった牛丼は少しずつ値上がりをしていって、現在は468円に。この10年で6割近く値上がりしていると思うと、ビックリしますよね。

この変化の大きな要因は、為替と人件費の高騰だといいます。 
グローバル化が進むこの社会において、とりわけ輸入の依存度が高い「日本の食」は、各国の経済状況や政治、テクノロジーの発達など、さまざまなものの影響を受けて変化します。 

この先、私たちの「食」にはどのような変化が訪れるのでしょうか。そして、私たちはそれを、気持ちよく受け入れられるのでしょうか。

未来の食を考えることは、環境や地球のこと、さまざまな課題を自分ごとに近づけるきっかけになるのでは——そんな思いをもって、q&d編集部では大学生のみなさんと「食と環境」をテーマにしたワークショップを開催しました。
 
みなさんも参加者になったつもりで、「未来の食」について一緒に考えてみませんか?

もし、ハンバーガーのパテがぜんぶ「植物肉」になったら……?

食に変化をもたらす要因はさまざまですが、その中の一つに「気候変動」があります。

「気温が少し上がるくらいなら、生活でそんなに困ることはないかな……」と思うかもしれません。けれども、このまま温暖化が進んでいくと、小麦やカカオが今までのように育てられなくなって、パスタやチョコレートなどが食べられなくなると言われているんです。好きなもの、慣れ親しんだ主食がなくなると思うと、ちょっと困りますよね。

そして、食べられなくなるかもしれないものの一つに「肉」も挙げられています。

なぜなら、家畜を育てるプロセスで大量の温室効果ガスが排出されているから。その総量は、世界中の乗り物から排出される量と同程度だとも言われています。「これ以上続けると、地球がマジで危ない」という理由で畜産が制限され、今までのように肉がスーパーで気軽に買えなくなる未来がやってくるかも……。

「地球環境のためなら、肉なんて食べなくてもいい」という人もいれば、「地球環境は大事だけど、肉も食べたい……」という人もいるでしょう。私たちは、そんな欲張りな願いを「技術」によって、なんとか叶えようとしています。

たとえば、大豆ミートなどの「植物肉」を生み出す技術が、それに当たります。多くの人が普段食べている肉の代わりに、植物由来の“肉”を食べるようになれば、温室効果ガスの排出はかなり抑えられると言われています。

ただ、植物肉はつくるコストが高く、普通の肉よりも値段はかなり高くなってしまうのが現状です。また、味や食感も完全に肉を再現できるわけではないので、「ちょっと物足りないな」と感じる人は少なくなさそうです。

環境へのメリットは大きいけど、まだまだ受け入れにはハードルが高そうな「植物肉」。自分ごととして考えやすくするために、大学生の皆さんにはこんな問いを提示してみました。

もし「ハンバーガーチェーン店のパテやナゲットが、ぜんぶ植物肉になって、値段が2倍になったとしたら」?

さて、あなたはどうでしょうか。受け入れられますか? 受け入れられないとしたら、どんな要素が引っかかっていると思いますか?
 
会場に集まった大学生の皆さんからは、こんな意見が返ってきました。

「環境にいいならそっちを選びたい気持ちはあるけど、2倍だとさすがにためらうかも。1.5倍くらいならギリギリ出せそう?」
「前に食べたことがあるんだけど、あまりおいしくなかったんだよね。正直、値段が2倍になるなら、2倍おいしくなっててほしいなと思っちゃう」
「『肉の代わり』ってなってると選びにくい。代わりじゃない植物肉としてのおいしさがあったら、お金を出してもいいかなって思う気がする」

参加者たちの声に耳を傾けてみると、「コスパ」を気にする意見が特に目立っていました。「値段が高くなるのはしょうがないけど、それに見合った『価値』を感じさせてほしい」「『環境にいい』だけでは選びにくい」というのが本音なのだと思います。

あらためて、あなたはどう感じましたか? 「植物肉が日常になる未来」を想像してみると、自分が今の食事で何を大事にしているのかが、見えてくるかもしれません。

値段、味、手間、楽しさ――そういった食の要素の中に「環境のため」を気持ちよく入れていくには、どんな技術があって、どんな未来になっているとよさそうか。引き続き、一緒に考えていきましょう。

寿司がプリントできる!? すごい技術は、環境にも私にもやさしいの?

さまざまな環境の課題を解決するため、あるいはよりよい食やくらしをつくるため、日々新たな技術が開発され、それらの技術を活用した製品が生み出されています。

たとえば、「ロボットキッチン」もそのひとつに上げられるでしょう。

最近は、IoT化された調理家電を導入したキッチン、いわゆる「スマートキッチン」が少しずつ一般家庭にも普及しつつあります。さらに、そこにロボットの技術も加わって、完全自動で料理をして、後片付けまでしてくれるキッチンも登場し始めているんです。

放っておけば、環境にもやさしくて栄養バランスの取れたおいしい料理が勝手にでき上がっている……なんて未来が、もうすぐ来るかもしれません。

また、「3Dフードプリンター」も未来の食の技術として注目を集めています。
 
3Dフードプリンターとは、食材を3Dプリンターのインクとして用い、食べられる立体構造物を自在に作り出す機械のこと。ボタンひとつで、チョコレートや寿司が“プリント“されちゃうんです。ビックリですよね……! 見た目が悪いなどの理由で廃棄されている食材を原材料に使えば、ゴミの削減にもつながりそうです。

ロボットキッチンも、3Dフードプリンターも、うまく活用することで環境への負荷を大きく軽減できるかもしれない、と期待されています。ただ、その影には「自分が何を食べているのかわからなくなる」「料理をする楽しみが減っていく」といったデメリットも出てくるかもしれません。
 
こうした技術が発達した未来に、私たちはどんな「食」の形を望むのでしょうか。どんな食の要素を失いたくないのか、どんなところにワクワクするのか――そんな問いを投げかけてみると、参加者たちからは、こんな声が聞こえてきました。

「AIとか技術で、食の選択肢が広がるのはいいことだなって思う」

「食には制限をかけられたくないよね。環境にいいものではなく、自分がおいしいと思うものを食べたい」

「なるべく気にしたいけど、『環境にいい』という要素をあんまり強調されたくないかも。その選択をしなかったときに、罪悪感を感じてしまいそう」

「好きなように選んだら『知らないうちに環境にいいことをしていた』ってなってるのが理想的かなあ」

「食の選択肢、食の楽しみ」を犠牲にしたくない……という意見が多く、その切実さが伝わってきました。あなたはどの声に共感、納得しましたか?
 
今ある楽しみ、豊かさを諦めず、環境にも負荷をかけない「食」の未来を、新しい技術を用いてどんなふうに実現していくことができるでしょうか。次のパートで、さらに踏み込んで考えてみたいと思います。

2050年の食事、どうなっていたらあなたはハッピー?

最後に参加者の皆さんには「2050年の食の『もしも』を想像するワーク」をやってもらいました。
 
「2050年には、食がこうなっているかもしれない」という仮説を立ててもらって、それをヒントにしながら「自分は食のどんな要素を大事にしたいのか」「どんな選択肢があったら、我慢せずに地球にやさしい食を実現できるか」を探りました。
 
さて、あなたは2050年、食のスタイルが今とどのように変わっていると思いますか? 参加者が描き出した「もしも」を、いくつか見てみましょう。

「もしも味覚が完全に数値化されて『おいしさ』が自在に作れるようになったら?」

技術によって「おいしさ」をコントロールできるようになったら、代替肉が本物の肉よりおいしくなるかもしれませんね。環境にいい食べ物のほうが「おいしい」となれば、私たちも望んで選びやすくなる気がします。
 
それとも、「つくられたおいしさなんて本物じゃない!」と感じるのでしょうか。だとすると、求めているのは単純な「おいしさ」だけじゃないのかも……あなたはどう思いますか?

「もしも地球規模で食事が統一されて、みんなが毎日同じものを食べるようになったら?」

大規模な給食みたいなシステムですね。「食事は選べないのが当たり前、むしろそれが自分にも環境にも一番いい」というのが常識になったら……たしかに、毎日何を食べるか悩まなくて済むし、それで完璧に栄養素なども計算されて、健康でいられるなら結構アリなのかも? でも、やっぱりちょっと寂しい気もします。

「もしも人工的にいくらでもつくれるエコな素材を使って、あらゆる料理が3Dフードプリンターですべて再現できるようになったら?」

これが実現したら本当にすごい……! 世界中の食糧難の問題も解決しそうですね。ただ、こうやってボタンひとつで苦労なく、いくらでもつくれてしまう物質を、私たちは「食べ物」として今と同じように楽しめるのでしょうか? これもまた、考えがいのある問いだなと感じます。

さて、ここまでいろいろな角度で「食と環境」の未来についてあれこれと考えましたが、今あなたの中にはどんな余韻が残っているでしょうか。ワークショップの参加者たちは、こんな感想を語ってくれました。

「植物肉の味があらためて気になった。今度食べてみたいです」

「自分は意外と『食べるもの』が変わること自体は気にならなくて、むしろ『誰かと一緒に食べる楽しさ』を大事にしているんだな、ということが分かったのが発見だった」

「いろいろある中から選べるって、大事だし楽しいんだなと気づいた。それが制限されないために何ができそうか、考えていきたい」

気候変動とか環境問題って、ちょっと大きすぎて自分ごとにしにくい。けれども、それが身近な「食」にかなり深く関わってくるんだ、という実感を持てると、少し向き合いやすくなりますね。
 
簡単に「こうすればいい、すべて解決する」という答えが見つかるわけじゃない。だからこそ、いろんな角度から問いを出して、誰かと一緒に話しながら、諦めずに考え続けることで、くらしをよりよくするためのヒントが見えてくるのでは――そんな期待を持って、q&d編集部は今後もこうした対話の場をつくっていきたいと思っています。

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