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オリンピック・パラリンピックがくれたもの―日常を少しだけ良くすることで、未来は大きく変わっていく

さまざまな困難を乗り越えて 開催された東京2020オリンピック・パラリンピック。パナソニックが国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会と連動して進めてきた若年層参加型のコンテスト「SPORTS CHANGE MAKERS」も、2021年8月23日に有明・パナソニックセンター東京にて最終プレゼンテーションを実施しました。

「GOING BEYOND BARRIERS」をテーマに掲げた本プロジェクトでは、テクノロジーの力でスポーツを発展させるという視点で、世界各国の学生からアイデアを募集。性別、年齢、国籍、障がいなどさまざまな違いが「バリア」になっていないか。それを壊し乗り超えていくにはどのような技術が必要か。若い世代のみずみずしい視点で、斬新な提案が多数集まりました。

最終プレゼンテーションには予選からの審査を突破した中国、アメリカ、ヨーロッパ、日本の学生達が、それぞれの感じるバリアと、解決するためのテクノロジーを発表し合いました。今回は、日本代表の横瀬健斗さんに、プレゼンテーションの内容や、その中に込めた思いをお聞きました。

オリンピックが日常の一部として体験できる公園

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横瀬さんが提案するのは、オリンピックやパラリンピックの記録を日常的に味わえる公園「Our Play Park」。公園には、アスリートの体の動きを、パナソニックの映像解析技術を使って三次元的に再現した遊具が置かれており、子ども達は遊具で遊びながらアスリートの動きに触れ、体感することができます。また、スマートフォンを遊具に向けると、その遊具が表現するアスリートの動きを見られる仕掛けも。「高跳の選手はこんな高さまで飛べるんだ!」「飛込の選手はこんな動きをするのか!」と遊具に触れながら知ることができます。

横瀬: 私はこれまで、オリンピックやパラリンピックはどこか日常生活からかけ離れているとも感じていました 。大会の間はテレビで観て盛り上がるのですが、次の大会までオリンピックやパラリンピックについて思い出す機会は私は多くはありませんでした 。もっと日常の一部の中で体験できたら楽しいのになという小さなアイデアがはじまりです。

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▼横瀬さんのプレゼンテーション

観戦から体験へ。新しいオリンピックの楽しみ方とは?

最終プレゼンテーションでは各国のチームが、言語・身体機能・知識などスポーツを観戦するうえで障壁となるさまざまな違いをテクノロジーで解決する斬新なアイデアを発表しました。横瀬さんのアイデアの特徴は「観戦」そのものを「バリア」としたこと。そこには、競技者と観戦者という壁を超え「スポーツを体感する」ことへの横瀬さんの想いが込められていました。

横瀬: 私達はテレビさえあればいつでもスポーツ観戦を楽しめますが、あくまで観ているだけ。私自身もオリンピックはテレビの前で応援するもので、世界のアスリートの速さやジャンプの高さを肌で実感したことがありませんでした。そんな二次元的なスポーツ の体験を、三次元的なものとして公園にインストールできないかなと思いました。

また、スクリーンでの観戦は、目の見えない人は純粋に楽しむことができません。しかし、公園のオブジェとして実際に存在することで、目の見えない人も手で触って形を認識できますし、耳の聞こえない人もジャンプをする足音が体感できるかもしれません。デジタルでは省略されてしまう情報がアナログとして複合的に存在するからこそ、色んな人が色んな感覚器官で楽しめるのではないかと考えました。

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「オリンピックは観戦するもの」という人々の固定観念に、バリアが隠れていると考えた横瀬さん。このバリアを壊すことで、観戦することの難しかった人達も、オリンピックがより身近で、楽しめるものになると考えた のです。

公園を、今よりちょっとBetterな空間に

横瀬さん自身は、小学校3年生~高校卒業までサッカーをしていました。サッカーから学んだことはコミュニケーションの大切さだと言います。

横瀬: サッカーは、スポーツの中でも比較的プレイ人数が多い競技。一人ひとりの技術や技量ではどうしようもできない部分が多いんです。コミュニケーションで成り立っている競技だからこそ、目に見えない、大切なものがあることを学びました。

今回の提案の中にも、サッカーを通じて得た体験が生きているという横瀬さん。アイデアの核となる公園のベースになったのは、学生時代に友達と遊んだり、サッカー部で走り込みを行ったりしていた地元の公園なのだそう。

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横瀬: 公園はもともと素晴らしい場所です。スポーツをするだけではなく、木の下でゲームをしたり、走り回ったり、様々なコミュニケーションが生まれる場所。しかしその一方で、現代の公園は規制が多く、様々な遊びが制限されてしまっている側面もあります。だから今よりもう少しだけ公園を楽しめるスパイスのようなものがあれば、公園という場がBetterなものになるのでは?という気持ちをずっと持っていました。

プレゼンで提案しているのは公園の遊具ですが、本当に作りたいのは遊具によって生まれる人と人とのコミュニケーションや、広い視点での公園の豊かさや楽しさです。

「Our Play Park」は、公園という場所の特性上あらゆる人に向けて作ったものです。その中であえてターゲットをあげるとするならば、柔らかい感性をもつ子どもたちに体験してもらいたい。幼少期のサッカー経験がいまの自分を作っているように、この公園で体感したことが長い時間をかけて誰かのストーリーになるといいなと思います。

壮大なストーリーは、小さなことの先にある

テクノロジーを使い、アスリートの動きをアナログに変換した横瀬さん。今後、テクノロジーの力でどんな未来を叶えていけるかという質問には、物事を丁寧に考える横瀬さんらしい答えが返ってきました。

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横瀬: テクノロジーというと、つい大きなものを想像してしまいがちです。でも“人間の小さな欲求を叶えてくれる手法”という見方をすれば、必ずしも大きなものを解決する必要はないと思うのです。
例えば私はコンタクトレンズという小さなテクノロジーのおかげで、サッカーがまともにできるようになりました。小さなことのように思われますが、結果として大きな解決につながっていくことがあります。昨日より10cm高く飛べる、1秒だけ早くなる、そんな小さな欲求の先に、壮大なストーリーがあるのかなと思っています。

小さな部分を丁寧に考えることで、やがて大きなものにつながっていく。この考え方は、日常生活の中にある公園にオリンピック・パラリンピックを体験できる遊具を加えることで、子ども達の豊かな未来につながっていくという、今回の提案に共通するものだと感じました。

今後、4チームの代表達は将来の様々なスポーツシーンへの採用を目指し、IOC/IPCや組織委員会への提案活動を行っていきます。彼らのアイデアがスポーツにどのような可能性を与えてくれるのか。今後にご期待ください!


横瀬 健斗(よこせ・けんと)
山梨県生まれ。京都工芸繊維大学の大学院卒業。日常生活で出会う物事を俯瞰的にとらえ、建築・デザイン・アートの領域を横断的しながら思考と創作を続けている。


横瀬さんのプレゼンテーションに登場した、走幅跳の動きを表現したオブジェはパナソニックセンター東京で2021年10月19日(火)~12月26日(日)まで実際に見ることができます。試作中のスケッチなども展示予定です。ぜひ、足を運んでみてください。

これらのプロジェクトのいずれかが将来実現される際に、パナソニックのカテゴリー製品/サービス以外が含まれる場合、それぞれの製品カテゴリーに応じて、他のTOPパートナー / オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会パートナー / NOCパートナーと連携を行います。


▼SPORTS CHANGE MAKERSの詳細はこちら

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