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「#どこでも住めるとしたら」noteコンテスト優秀作品をご紹介!

noteとq&dがコラボレーションして実施したコンテスト企画「#どこでも住めるとしたら」。コンテスト作品を通じて、読者の皆さんが住環境の選択の中で、どんな迷いや変化を経験しているのかを読み取ることができました。本記事では10の受賞作品をq&d編集部目線で取り上げながら「自分に合った住む場所を見つけるために必要な要素」について考えます。

▼詳細

松島 茜(まつしま・あかね)
q&d編集長。愛知県出身。大学在学中にフリーペーパー制作とドイツ留学を経験。名古屋大学文学部を卒業後パナソニックに入社し、様々なイベント、セミナー企画に携わる。子どもの頃から食分野に興味あり。週末にはパンを焼く。

湊 麻理子(みなと・まりこ)
q&d編集部。兵庫県出身。一橋大学卒業後、パナソニックに入社。UK駐在、4泊5日で4カ国を回ってテレビを売り込むなどといった海外営業職を経て、2017年から未来創造研究所所属。デジタル、デザイン、コミュニケーションの交点をうろうろしてコミュニケーションの未来をつくることが仕事。疲れてくると息子を吸いがち。趣味は観劇。

田中 麻理恵(たなか・まりえ)
q&d編集部。インドネシアで小学生時代を過ごす。現京都市立京都堀川音楽高校、神戸大学発達科学部にてクラシック音楽を学ぶ傍ら、ソングライティングの経験を積む。パナソニック入社後、経理職を経て、ブランドコミュニケーションに従事。趣味は土いじり。

1,800件を超える応募、ありがとうございます!

特集「あしたどこでくらそう」では、全国の若年層を対象とした調査記事に始まり、編集部一人ひとりの疑問・関心に基づいた対話をさまざまな有識者と行いました。

編集部員が考えた疑問や悩みは、他の多くの方にもあてはまるものなのでしょうか?住む場所を考える上で必要な視点はもっと他にもあるのではないだろうか?皆さんはどのようにして自分自身に合う場所を見つけているのか……?

定量調査ではなかなか見えてこない、住む場所の選択にまつわる迷いや思い入れなど、ぜひリアルな声を聞いてみたい――そんな思いを、今回はnoteコンテストという形で実現しました。題して「#どこでも住めるとしたら」。

子ども時代の思い出から、社会人になった後での新たな土地でのチャレンジ、夢のくらしの妄想まで……投稿数はなんと1,809本にも及びました。その中から選ばれた10本の受賞作品を中心に、「住む」についてどのような価値観が見えてきたか、q&d編集部の松島、湊、田中の3名が語りました。

この記事の元となった座談会の様子は、Spotifyの「q&dラヂオ」でも配信中です。
▼ぜひお聴きください!

住む場所を選ぶ上での多様な視点が登場

松島: 今回の受賞作品の主題を大まかに分類してみると、「人・関係性」「文化・風土」「趣味・娯楽」「自然」「日々のくらし」など、住みたい場所を選ぶ上でさまざまな視点があることに気づきました。田中さん、湊さんは気になる記事はありましたか?

田中: 視点が独特という意味でも、私はグランプリの「オペラ座の怪人になりたい話」が印象に残っています。自分自身が音楽に関わってきたからなのかもしれませんが、「コンサートホールに住む」というのはすごく面白い発想だなと。

松島: この作品は非現実で飛躍した空想を元に書かれていて、「住みたい場所」の可能性の幅を広げる意味でも素晴らしかったと思います。

湊: 案外、現実から飛躍したアイデアではないのかもしれません。現実にも推し活や趣味が高じて、好きなテーマパークや劇場の近くに住みはじめた方など聞くことがあります。

住むまではいかなくとも、「お城に滞在する」「水族館に泊まれる」といった体験もよく見かけるし、ニーズもあるように感じています。「好きなもの=非日常」という常識から一歩飛び出して、くらしの場所そのものにしてしまうサービスの可能性はまだまだありそうな気がします。

田中: 分類を見ていると、「人・人間関係」という視点よりも「自然」を軸にしている方が多いことも意外でした。碧魚まりさんの「癒しと冒険、心に広がる海。」はまさに自然を軸に描かれています。

湊: 自然の軸でいうと、エジプト留学中の体験を書かれた埃及さんの「どこにでも住めるとしたら」で、“自分の理想の住む場所”の条件リストが登場します。そこでも天候について言及されていましたね。「カラッとしていてほしい」と。

松島: 私も雨が多いところは苦手なので、「カラッとしていてほしい」はとても共感します。なるべく太陽が出ていてほしいです……。

湊: 私は昔イギリスに住んでいて、周りの友人たちが「雨が多くて気が滅入る」と口々に言っていたのですが、私自身はインドアであまり気になりませんでした(笑)。個人差が大きく、自力ではどうにもできない要素だからこそ、住む場所選びにおける重要なポイントになりえそうだな、と感じました。

選べないからこそ、愛せる場所があるかもしれない

田中: 蛯原篤史さんの「住みはじめた場所が好きになる瞬間」は、転勤でタイからマレーシアに移り住む中で、「前に住んでいたタイの方が良かった」と思ってしまったところから、いま住んでいる場所の良さを積極的に見つけていく過程が描かれていました。

松島: 「Googleマップを見ていたら森が多いことに気づき、トレッキングするようになった」という気づきの流れが面白いですよね!

田中: 「好きな要素を自ら見つけていく」って、住む場所だけでなく仕事や人間関係など、ほかのことに対しても必要なんだろうなと思います。知らない土地でも主体的に向き合うことで「その土地ならではの良さ」を見つけていけば、自分の心持ちもポジティブに変わっていくんだなと、あらためて感じました。

大人になると、仕事の都合などもあって、自分が住みたい場所ばかりに住めるわけではありません。そんな時、どこに行っても「その土地ならではの良さ」を見つけられるコツを掴んでおくと、変化を柔軟に受け止められそうです。

湊: 「住む場所を選べない」ことについては、今回の特集でも扱ったように、基本的に親・保護者の住む場所に影響される子供時代にも当てはまりますよね。そういった意味でも印象に残ったのは、ぐーさんの『「まよすな」は僕の世界全てだった』です。

松島: この作品には、ひときわエモさを感じましたね……!

湊: 特集の記事では「子どもが自分自身で住む場所を選べるとしたら何が学べるのか?」というテーマで問いを掘り下げましたが(子どもが自分で住む場所を決めたら何が学べる?「しまね留学」の高校生と一緒に考える )、この作品で描かれているエモさは、逆に選べない環境で「僕の世界の全てだった」からこそ愛せた場所があり、過ごした時間があったということだと思うんです。

松島: 住む場所というテーマでありながら、人間関係の話にフォーカスしているというのも、子ども時代ならではですよね。

子どものころの記憶って「この場所がどういう土地か」なんてあまり考えてなくて、「○○君が犬を飼ってる」とか「○○君の家はおばあちゃんがいる」とか、ささやかな人との関わりの記憶がすべてだったような気がします。大人になるにつれ、自分の生まれ育った場所が相対化されていく感覚がありますよね。

自分の感覚の中にサンプルを蓄積していく

田中: 生まれ育った場所・家に対する感情を描いている、微熱な日々さんの「やっぱり、あの家に帰る」は、描写が素敵で感情に訴えかける作品ですよね。

田中: この作者さんも、若い頃に一人で海外のいろいろな土地に住んだ経験をして、冷静な視点で自分が育った家を見つめ直しているからこそ、心に響くものがありました。

松島: 若いうちにさまざまな場所を訪れたり、実際に住んだりする経験をしておくといい……という話は、特集の他の記事の中で、LIFULL HOME'S総研の島原さんもされていましたよね。

住みたい街ランキングでは分からない、 自分の感性に合う「住みよい街」を探し出すには?

松島: 例えば、前述したエジプト留学中の埃及さんもまさに「Life Explorerの真っただ中」という感じだったなと。決して楽な環境じゃなく、ギャップや苦労も多いだろうけど、だからこそ自分の大切なものを見つけられているのだと感じました。最終的にそれを見定めるために、サンプルとなる体験はたくさんあったほうがいいですよね。

湊: 「住みたい街オブザワールド」は、まさに作者のポールさん自身の感性と記憶が凝縮された“生身のサンプル”ですよね。写真も素敵で、本当に住んでみたくなりました!

田中: うんうん。なんだか、その街の匂いとか、空気感まで伝わってきそうな写真でしたね。

湊: 一方で、ライフステージが進んでいくにつれて、自ら冒険心を持って新たな場所に飛び込む機会やモチベーション、慣れない環境で耐え抜く強さみたいなものが、少し減っていくようにも感じてしまいます。

松島: そうですね。変化の中で感じる迷いや葛藤がストレートに書かれていた、谷内りょうさんの「巡り巡ってここに至る」も印象的でした。結婚とパートナーの妊娠を経験して、自分の価値観が大きく変わる様子の描写が、とてもリアルでした。

湊: 私も一児の母として、この作品は何度もうなずきながら読んでいました。

松島: この作品に出てくる『「住む」ことは「何を大事にするか」と直結する。』というフレーズは、変化を経験し、今まさに迷いの最中にある作者だからこそ、すごく重みがあるメッセージだなと感じましたね。

自分らしく Life Explorer するためには?

松島: さまざまな作品を読ませていただきながら、「自分の想像や妄想を実現するには何が必要なんだろう?」と考えていました。「南の島に住みたい」という幼いころからの思いを叶えた過程を書いてくださった、たつまきなこさんの「南の島に住む」も、パワフルな行動力で勇気をもらえるなと思ったんですよね。

田中: やっぱり、Life Explorerするのに必要なのは勇気なんでしょうか……。

湊: 「勇気が必要」というのも、思い込みの可能性もありますよね。「やってみたら意外と簡単にできた」みたいなケースもたくさんありそうです。そう言えば、松島さんは最近、突然京都に引っ越したそうですが、そのあたりの決断の過程はどうでしたか?

松島: わたしの場合は「京都にどうしても行きたい!」というよりは、「今の環境を変えて停滞感を打破したい」という思いの方が強くて。そう考えると、「動きたい気持ちがない=今のくらしが自分に合っている」という見方もできるのかもしれません。

田中: 松島さんの気持ち、私も共感します。「どこにも越したくない」の作者のあずきみみこさんもまさにそうでしたね。さまざまな選択肢を考えた上で「結局そこなの?」と突っ込みたくなるオチで、楽しませてもらいました!

松島: 自分は何があれば心身ともに健やかに生きていけるのか……場所が変わるとその要素やバランス自体が変わっていきますよね。収入は少なくなったとしても周囲の人との繋がりが深かったり、おいしい食材が安く手に入ったりとか。

ただ、それは住んでみないと、なかなか分からないことでもある。やはり短期間の旅行であっても、いろいろな土地・環境に触れておくことが大事になってきそうですね。

田中: まさに「住むことは生きること」ですよね。一方で過去の経験を振り返ることも、住む場所を選ぶ上でのヒントになりそうです。

子どもの頃に少しの間だけ過ごした祖父母の家の記憶がすごく強烈に残っているんですが、あの頃に「いいな」と感じた感覚って、今とあまり変わってないような気がするんです。

松島: 確かに、思い出の場所を当時の感情とともに思い起こすことで「自分がくらしに何を求めているのか」の糸口が見つかることもありそうです。

過去の経験と向き合ってみること、そして新たな経験を経て感覚を蓄積させていくこと。今回のコンテストの参加者が語ってくれた経験則を、自分の人生に活かしていくことで、自身がもっとよりよい状態でいられる場所見つけられるかもしれない――そんなふうに感じました。

みなさんはここで紹介された作品の中で、どのnoteのどんな言葉に共感しましたか?ぜひ「#あしたどこでくらそう」をつけてツイートしてください。

問い(question)と対話(dialogue)でくらしの理想を考えるパナソニックのライフスタイルメディア「q&d」はこちら
※作品等の名称は2023年4月26日時点のものとなります。


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