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情報資産を分析・活用し、パナソニックのビジネスを進化させたい。

ひとり1音しか出せない音が幾重にも重なって、ひとつの美しい音楽になる。それが吹奏楽のたのしさだと、牧ヶ野衣里は言う。「でもそれは、同時に難しさでもあるんです。一人ひとりが音色や技術を磨くことも大事ですが、全員がめざしてる音がちゃんと合ってないといい音にならないんです」。

学生時代、吹奏楽部に所属していた牧ヶ野は、自分たちの音がどうしたらもっと良くなるのかをいつも考えていた。そしてある日、思い切って部員たちに"意思伝達のための、新しい体制づくり"を提案した。

「吹奏楽は、金管とか、木管とか、いろんな楽器のパートがあって、それぞれにリーダーがいるのですが、その人たちの曲の解釈が少しでもずれていたら、最終的な音がバラバラになってしまう。そこで自分たちがどんな音をめざすのか、リーダーたちでもっと話し合えるようにしようって言ったんです」。成果はすぐには出なかった。しかし話を重ねるほど、次第にまとまっていく音を聴いて、自分の挑戦は間違っていなかったことを確信した。

大学では生物系を専攻し、大学院では遺伝子工学の研究室に入った。就職活動を始めるにあたり、自分が本当にやりたいことを考えた時に思い浮かんだのは、吹奏楽部での経験だった。「あんな風に、組織をいい方向に変えていくような仕事がいいなって。最適化というか、いろんな個性をうまく活用するような仕事が向いているんじゃないかって思ったんです」。でも、それってどんな仕事だろう。考えた結論は、ITだった。

専攻したこととまったく違う分野であったが、とにかく会社を受けてみることにした。話を聞いてもらえない会社もあったが、ある日、不思議なくらい波長があう会社と出会った。それがパナソニックだった。「すごく真剣に話を聞いていただけて、思っていたことを全部話すことができたんです。自分らしさというか、オリジナリティみたいなところを大事にしてくれたのも嬉しかった。こんな人たちと働けたらいいなって思ったんです」。

入社が決まり、当時立ち上がったばかりの部署に配属された。コンサルティンググループという、現在のデータ分析ソリューション事業部の前身とも言える部署で、データ分析を使った業務改善が牧ヶ野の仕事となった。「最初に取り組んだのは、当時出始めたばかりのスマート家電の利用ログの分析でした。そこで見えてきたものを、次の商品企画にどう活かすかを考えるのですが、まずデータ分析が何にも分かってなくて」。勉強しようにも、当時は教材も少なくネットを調べても何から始めれば良いのか分からなかった。

そんな時、手を差し伸べてくれたのは同期の仲間だった。勉強のための本を教えてくれ、分からないことはすぐに教えてくれた。上司や先輩も、時間をかけて指導してくれた。そうやって牧ヶ野は、少しずつデータ分析を自分のものにしていった。

「本当に人に恵まれたなって思います。でも、同時に焦りも感じていました。自分にしかない価値は、どうしたら身に付けられるだろうって」。そうやって決めたのが、海外トレーニーへの応募だった。これは、研修生として海外の拠点で働きながら必要な知識や対応力を身に付けていく制度で、これを利用して牧ヶ野は中国の拠点で働くことになった。そこでデータ分析による顧客体験の向上、そしてマーケティング強化に向けたサービスとそのしくみづくりに取り組んだ。

「力が入りまくってましたね。中国語も必死で勉強して。でも、なかなかうまくいかなくて。自分で抱え込みすぎていたんです。この仕事のやり方じゃ大きな課題は取り組めないし、私が日本に帰った時点で終わってしまう。それに気付いてから、まわりの人の協力や理解を意識するようになりました。目標をしっかり共有し、みんなを巻き込みながら仕事するようになったんです」。

ひとつ上の視点で仕事ができるようになった牧ヶ野は帰国し、現在パナソニックのマーケティング力と営業力の向上に向けた、社内外データの分析および活用の企画、そして業務プロセスとシステム設計や実装に取り組んでいる。

「パナソニックは歴史のある会社ですから、会社のあちこちに価値のあるデータが蓄積されています。しかしグループ全体ではそれらを効率的に活用できず、眠らせてしまっていることも少なくありません。私たちはそれらをデジタル化して分析し、ビジネスを進化させる武器として現場に提供しています」。たとえば、営業や製造、物流などの現場でしか感じられない肌感覚にデータによる事実を融合させることで、より的確な意思決定に貢献することも、実現しようとしていることのひとつだ。

データ分析を始めて10年以上が過ぎた。この仕事は、今後ますます会社に欠かせないものになると感じている。「私たちの仕事は、パナソニックグループ全体の仕事に影響を与えることもあります。だから一つひとつの仕事に、すごく責任を感じます。そういうところ、吹奏楽と似ているなって。たのしくて、やっぱり難しいですね」。

<プロフィール>

牧ヶ野 衣里(まきがの えり)
情報システム
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
2012年入社 人間発達環境学研究科卒

昨年生まれた子どもと1日中遊び倒すことが、最近の休日の過ごし方。時間があるときは海や実家など、できるだけ息子にとってはじめての場所に連れて行くことがいちばんのたのしみ。

*所属・内容等は取材当時(2022年10月)のものです。
*パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社はパナソニックグループ一括募集の対象ではございません。募集の詳細はパナソニック インフォメーションシステムズ株式会社採用サイトをご確認ください。

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