『身体ごと、入り込んでいるときだけは。』
天井を見上げると、壊れたシーリングファンの代替えとして取り付けられた小さな電球が、申し訳程度に吊り下げられている。『いま直す準備を進めているから』と、釣りの話になると永遠に止まらない大家は言ったけど、もちろんそんなはずもなく、この部屋を出る最後の日まで僕を照らし続けたのは、小さな電球ひとつだった。
アルゼンチンで迎える、3年目の春。
2018年2月、「フットボール」というたったひとつのものを追いかけて、地球の反対側に位置する国へ、ひとり移り住んだ。我ながら、結構ロックであ