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好きを見つけて、強みを伸ばす!   キッズフェス・レポート 第一弾

こんにちは、パナソニックnote編集部です。
 
2024年8月2日(金)~4(日)、夏真っ盛りのパナソニックセンター東京で「子どものもっと!を引き出す3日間!キッズフェス」が開催されました。
 
次世代を担う子どもたちが、既成概念などのさまざまな制約から解放されて、自分の秘められた可能性に気づき、のびのびと才能を羽ばたかせる。そんな体験ができるワークショップやイベントなどを、ホールやスタジオなど敷地内で20以上も実施。小学生を中心に、述べ6,000人以上が参加しました。
 
今回は1日目に開催された2つのワークショップ、「プログラミングで光のアート空間を作ろう」と「ねんドル岡田ひとみのミニチュアクッキング」の様子をご紹介。さらにワークショップを企画した社員2名のインタビューで、未来の子どもたちへの想いをお伝えします。


デザインは自由!想像力を解き放とう

「Scratch」というプログラミング用のソフトをご存じでしょうか。
 
最初に紹介するワークショップ「プログラミングで光のアート空間を作ろう」では、このScratchをベースにしたプログラミングソフト使って、自由に想像力を発揮して、2~3名のチームで光のアートをつくります。集まった子どもたちは小学生ですが、「Scratchを使ったことがある人!」というファシリテーターの問いかけに、ほぼ全員が知っているという回答でした。
 
ワークショップの冒頭では、“クリエイティブラーニング”という言葉を解説。これは正解の決まっていない問題の解き方で、頭に浮かんだものを、どんどん手を動かしてやってみること。「今日は、まずはどんどん手を動かそう!」の言葉ではじまりました。
チームは、どんな風に光らせるかをプログラミングするプログラマー、紙・ワイヤー・綿などの材料を使って光をデザインするデザイナー、そして全体をリードするリーダーの役割を交替しながら進めます。

プログラムを確認しながら光をデザイン

プログラミング次第で、色も点灯の仕方も自由自在。夢中になって真剣な表情で取り組んだり、いろいろな材料を使って楽しそうにわいわいとデザインしたりと、盛り上がりました。

様々な個性の作品たち

最後は、それぞれの光のアート作品の鑑賞タイム。それぞれデザイナーが中心になって、自分たちの作品のコンセプトや工夫したポイントを紹介します。話す方も見ている方も、目をキラキラ輝かせながら楽しく共有しました。

続いては「ねんドル岡田ひとみのミニチュアクッキング」。
講師は、ねんど職人+アイドル、「ねんドル」としてテレビでも活躍中の岡田ひとみさんです。

ねんドル 岡田ひとみ さん

会場には100名近い小学生が集まりました。
会場内に展示された岡田さんのミニチュア作品を、興味津々の目で取り囲む子どもたち。「すごいね!」「かわいい!」という声とともに、子どもたちのわくわくも伝わってきます。
 
ワークショップでつくるのは、世界にたった1つしかない、オリジナルのケーキです。ケーキの土台となるスポンジ部分は岡田さんと一緒につくります。土台ができたら、その先のデコレーションは、それぞれ自由。ケーキをプレゼントする誰かを決めて、「その人に贈るなら、どんなケーキがいいだろう」と想像しながらつくっていきます。

作品を作る様子

紙ねんどをしっかりこねて、贈る相手を想像しながら、ねんどの色も自分で決めてつけていきます。どんどん作業が進むと、会場中はシーンと静かに。子どもたちの真剣なまなざしが印象的です。

完成した作品

できあがったケーキは、見た目のカラフルさだけでなく、プレゼントする相手が大好きなものをトッピングしたり、大好きな味をイメージしたり、一人ひとりのその人を大切に想う気持ちがあふれるものが完成しました。

子どもたちがより自由に、自然に、自分を発揮するために


高田 和豊(たかた かずとよ)/写真右
2016~2019年にMIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボで、子どもの創造性をどう育むかを研究。メディアラボでは、子ども向けプログラミングソフト「Scratch」を開発するLifelong Kindergarten Groupに所属し、Scratchで操作できるIoT家電を使った新しいプログラミング教育のプロジェクトを開始。2019年帰国後にスクラッチホームと名付けた現在のプロジェクトを継続中。山崎 智史(やまざき さとし)/写真左
社内の事業開発を専門に行う部署で「子どもの強みを見つけて育てる次世代育成支援サービス Ipsum(イプソマ)」の事業化を推進中。2019~2021年MBA在学中には障がいのある大人の方の強みを活かすことができる環境の研究にも取り組む。

― 最初に、それぞれの新規事業をどのような想いでスタートしたのか教えてください。

高田:プログラミングというとパソコンやロボットのイメージがあります。でも今はIoTの時代、住空間内で調理機器や照明などのいろいろなものをプログラミングで動かせるようになり、家が子どもの創造性を伸ばすことができる場になったんですね。この暮らしの大きな変化を、“学び”につなげられるのではと着想しました。調理プログラミングなどの実験的な取り組みはこれまでに多くあったのですが、2019年頃は、このような学びを創造性教育の観点で学術的に取り組んでいる研究や、教育ビジネスとしての大きな取り組みは見当たりませんでした。パナソニックは創業以来、

くらしをつくってきた会社なので、世界的にみても、くらしと創造性の分野は私たちが教育分野でお役立ちできる領域であり、私たちがそれやるべきだと決意したのがこのプロジェクトのはじまりです。

山崎:私の弟が、重度の知的障がいをもっているんです。障がいのある人は、自分のできないことを改善しようとしても、そこは障がいなので難しいです。むしろ、どういうふうに将来自立するか、活躍するかと考えると、できることや良いところを伸ばすのが大切なんですね。そのアプローチがお子さんの将来を気遣っておられる親御さんの、不安解消になるかとはじめたのがきっかけです。そして、サービスを提供していくと、障がいのあるなしに関係なく、人は誰もが凸凹があるのが自然ですし、子どもの強みを知ったり、伸ばしたりすることに関心のある親御さんは多いので、現在は、障がいの有無は関係なく、広くいろいろなお子さんにご利用頂いております。
主に小学生を対象に、どんな強みがあるかをアセスメントして、育てるためのワークショップを提供します。さらに強みを育てるためには、日ごろの接し方が重要であるため、強みを育てる方法を親御さんにお伝えすることを最も大切にしています。

― 今回のワークショップでは、子どもたちにどんなことを学んでほしいと思われたのですか。

高田:「好きなことを見つける」と「主体性」の2つです。好きなことの見つけ方はいろいろありますが、自分で手を動かしてやってみるのが1つの有効な方法だと考えています。やってみないと好きかどうかはわかりませんので、試行錯誤にどれだけ時間をとるかが大切になります。ワークショップでは“光”がテーマでしたが、プログラミングやデザイン、空間づくりとか、どんなものが好きかいろいろな発見があるように設計しました。何か1つでも好きなものが見つかると嬉しいですね。
そして「主体性」。学校教育の中では、自由に自分が考えたものをつくるというのは授業時間の制約や教育指導要領という法律の観点で難しいのが現状です。このような時間のない中で、子どもたちは先生から指示された内容でしか試行ができなかったり、自分で勝手にやって間違えると「間違い」と指摘されて怒られる可能性さえあります。間違うたびに怒られると、子どもたちは主体的に物事に取り組まなくなっていきます。でも本来は「間違えて気付くこと」こそが学びなんですね。だから今日は「やっていいですか」と質問されたら、基本的に危なくなければ「どんどんやっていいよ」と答えました。たとえ上手くいかなくても、自分たちで考えて試行錯誤する中から、主体性が育つといいなと、そんな想いをこめています。

山崎:ワークショップについては「創造性」と「愛情」を育てることを目的に、「誰かのためにケーキを作ってみよう」というテーマを設けました。創造性を育てるには「0から自由に発想すること」、愛情を育てるには「誰かに気持ちを伝えるために、どんな表現があるのかを学ぶこと」など、いくつか重要な要素があります。だからワークショップでは、自分が好きなものではなくて、「これなら相手が喜ぶかな」と相手を想いながら自由に発想してもらうことを意図しました。もちろん子どもたちは単純に楽しむだけでいいんです。自然に身に付いていくようにしたかったんですね。

それともう1つは親御さんに向けて。今回のワークショップは1回きりだったので、あくまできっかけで、日々の親御さんの接し方が非常に重要です。そのため、子どもの強みを一覧にした冊子を親御さんに配布しました。ワークショップをきっかけに、子どもたちの好きや得意などの強みを認めることや褒めることを意識してもらえるといいなと。私たちのプロジェクトのコンセプトは「みんなで育てる」です。周りに認めてくれる人がいると、子どもたちの気持ちは変わっていきます。特に、親御さんはいちばん近くて、子どもたちからするといちばん認められたい存在ですね。この部分は、実際のサービスでも伝えていますね。

すべての子どもは、可能性に満ちあふれている!

― 2025大阪・関西万博で、子どもたちにどんな体験をしてほしいですか。

高田:より多くのお子さんに参加してもらいたいです。好きなものを見つけたり興味をもったりするきっかけを探す場所としては非常に効率的だと思います。パビリオンもワークショップも、パナソニックに限らず多彩ですので、お子さんにとってはとてもいい機会かなと。パナソニックグループのパピリオン「ノモの国」のタグラインは「Unlock your nature」です。ジャン・ジャック・ルソーが書籍『エミール』で子どもと自然について説いていますが、ぜひこのチャンスに子どもたちが自分の中に持っている生得的な“好きな事”を見つけてもらいたいですね。

山崎:私も高田さんと同意見です。親御さん、お子さんのどちらにもよい体験になると思います。「これが好き」「もっと知りたい」とか、何かに向き合うきっかけになれば、その場で楽しいだけでなく、その後も継続する体験に繋がり、よりよい効果が生まれます。その結果、お子さんの可能性が解き放たれるのかなと。そして、お子さんが自然体であり続けるためには、周りの大人がどう関わるかが大切。ぜひ意識してあげてほしいですね。

― 最後に、子どもたちへのメッセージをお願いします。

高田:未来を想像して、つくってください。“想像”するというのはシンプルですが、意外に難しくて、知識も情熱も必要です。だから小さい頃から、思ったことを形にする、1人でつくる、そしていろいろな人と一緒につくる経験を続けていってもらえればうれしいです。常にイマジンを大切に!
 
山崎:私は自分の弟と接していて、やりたいことがあっても実現するのが困難だと感じることが多かったためか、サービスを通じてお会いするお子さんを見ていると、本当に多様な可能性に満ちあふれていると感じます。たとえ、多少、本人に凸凹があったって、チームで解決すればいいとも思いますし。そういう意味でみなさんには凸の部分、強みの部分をぜひ大切にしていってほしいです。本来もっているものの中に、たくさんいいものがありますよ!

▼パナソニック グループ公式万博サイト
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▼パナソニック グループ万博パビリオン「ノモの国」特設サイト
https://the-land-of-nomo.panasonic/